仏具大手・はせがわの「推し壇」人気 アニメ好き20代社員が開発
縮む市場、新サービスに活路…相続相談、仏花の定期便など多彩
ライフスタイルや供養の在り方が変化し、仏壇・仏具市場は縮小が続いている。はせがわ(福岡市)が「推し壇」のような新商品・サービスに力を注ぐ背景には、取り巻く経営環境の厳しさがある。 同社の2024年3月期決算(単体)は、売上高が213億円と前期比1.4%減だった。国内死者数は過去最多を更新したが、主力の仏壇の売り上げは落ちている。 要因の一つは仏壇サイズが小型で簡素になったことにある。核家族化が進み、単身世帯も増加。重厚で大きい伝統的な仏壇ではなく、インテリアになじむシンプルな家具調や棚に置く小型の現代風仏壇の需要が伸びている。 今では同社の仏壇販売の86%は“伝統型”以外が占める。全体の販売数は10年前から増えたが、単価は2万円下がり売上高も約1億円減った。ここ数年はニトリ(札幌市)などの家具メーカーも市場に参入し、競争は激化した。 はせがわは「売り切り型からの脱却」を目指し、生前から顧客に寄り添うことで商機を生み出そうとしている。昨年4月に新規事業として、全国の店舗で遺品や不動産整理などに関する相談サービスを開始。同10月には仏花の定期便、推し壇の販売にも乗り出した。 22年から取り扱う法事の返礼品をはじめとする食のギフトについては今後、慶事向けにも拡大方針。新貝三四郎社長は「伸びの期待は新規事業。軌道に乗せて収益(の柱)に組み込みたい」と意気込む。