マツダの新型SUV「CX-80」＝横浜市（高橋寛次撮影）

マツダは10日、3列シートの新型スポーツタイプ多目的車（SUV）「CX-80」を発売した。昨年12月に生産を終了した「CX-8」の後継モデルで、同社にとって国内の最上位車種となる。7人乗車可能な乗用車はミニバンが主流で、3列シートのSUVは珍しい。広い車内空間を生かし、社会的地位の高い人らが後席に乗る「運転手付きの車」としての需要取り込みも狙う。 【写真】マツダの新型SUV「CX-80」の３列目の座席 「本格的な3列シートのSUVは国内では他にはなく、ユニークな商品だ。〝定番〟に育てていきたい」。毛籠勝弘（もろ・まさひろ）社長は9日、報道陣の取材にこう意気込んだ。CX-8も３列シートだったが、新型車では3列目の座席について「身長170センチの人でも快適に座れるようにした」（和田宜之商品開発本部長）という。3列目の座席について、専用の空調が追加されたほか、衝突時の安全性能も向上させた。 SUVでは日産自動車の「エクストレイル」や三菱自動車の「アウトランダー」にも3列シートのグレードが用意されているが、あくまで主流は2列。一方のCX-80は全て3列シートで、2、3列目の座席を格納することにより荷室を広げることができる。 ■マツダの社長車にも使用か 家族や友人など多くの人を乗せて移動できるCX-80だが、3列目をあえて使わない需要への期待もある。運転手付きの車と言えば、かつては黒塗りのセダンタイプだったが、ここ数年、トヨタ自動車の「アルファード」などミニバンも多く使われている。車内空間が広くてゆったりとくつろげるほか、物を置ける場所が多いだけでなく、複数の人と協議するときも便利だからで、3列シートSUVも同じ特徴を持つ。CX-80は内装にも高級感があり、マツダ関係者は「ミニバンが担っている需要の一部でも代替できれば」と話す。法人需要の開拓も行う方針で、これまでCX-8だったマツダの社長車には、CX-80が使われる見通しだ。 ■運転者の「異常」に対応も