「負けることは存在を否定されること」6・21新木場でアイアンフィストタッグ王座に挑む阿部史典に聞いた、BASARAの“屋台骨”中津良太の印象、“いま”のアストロノーツの強みとは…
6月1日に団体のSNSにて、6月21日新木場での中津良太&樋口和貞vs阿部史典&野村卓矢のアイアンフィストタッグ王座戦が発表された。ハリマオvsアストロノーツの純粋なタッグマッチ自体も初。アストロノーツは日本インディー大賞でベストユニット賞を2度受賞し、数々のタッグ王座、'21年7月8日にはアイアンフィストタッグ王座も戴冠している。挑戦者の阿部に、王者組の印象、アストロノーツの強みを聞いた。
ーー6・21新木場で中津良太選手&樋口和貞選手の持つアイアンフィストタッグ王座に挑戦が決まりました。王者の印象を伺えますか? 阿部 中津さんはインディーでもあんな人はなかなかいないんじゃないですか。オールラウンダーというか。BASARAを支えたりもできるし、トップも走れる人だと思います。(BASARAを)体現するのはわかりやすく言うと風戸(大智)さんとかだと思いますけど。(中津さんは)光らせることもできるしそれを押しのけて光ることもできるし、とにかくオールラウンダーな選手です。空気読むのがすごいうまい選手です。クラッチ(BASARAが経営するバー)では店長もやっているし、まさに屋台骨だと思います、BASARAの。中津さんは先輩で会場でもあんまり喋ったりはしないのですがそれが逆にいい感じの距離感だととも思っています。 ーーなるほど。 阿部 プロレスをすると楽しくて。スイングするって自分でいうのも変なんですけど、中津さんとの試合は共に積み上げてきた唯一無二のオリジナルのモノがあると思います。 ーー今回どんな王座戦になると思いますか? 阿部 BASARAのタッグチャンピオン、特色豊かな挑戦者を相手にして、例えばジュードーマスターとかまさにそうですけど、あれって面食いますから、知らなかったら。ボクは知ってますけど、野村はみたらたぶん面食らうし。そう考えるとハリマオは有利なんじゃないですか、いまのBASARAの雰囲気を把握してるし、お客さんの流れも把握してるし、自分ももちろん把握してますけど。でも我々も現在進行形で常に組んでるし。やっぱり特に有利じゃないかもしれないですね、勝ち負けで言ったら。すみません(笑)。 ーーBASARAのリングでとなるとまた雰囲気も違うと。 阿部 縛られなさで言ったら中津さんとかの方が縛られない気がします。『あ、ここBASARAだった』って試合中に忘れちゃったりする時あるので。『あーもっとこんな感じにすればよかった』とか試合終わってから思ったりする時もあったりします。 ーーBASARAだからこそ考えることも多いのでしょうか? 阿部 もちろんどこも考えること多いですけど、BASARAはまた考えますね、昔から。BASARAはワイワイ楽しく見えても締めるところは締めないといけないと思うんですよね。あんまふざけすぎてるだけでもダメだし、その見極めってBASARAでは大切な気がします。締めるところは締める。だからこの試合は比較的締めたいなと思ってます。こんなスゲー、タッグ同士がスゴい試合するんだぞっていう試合はしたいなと思ってます。そしてその上で負けたくないです。 負けることは自分たちの存在を否定されることと同じだと思うんで。 ーー存在を否定されることと同じ。 阿部 じっさい、そうだと思います。存在というか、だって向こうの方が強いから勝つわけじゃないですか。強いってことはそれが正しいってことだと思いますけど、でもBASARAでそこまで重たく見てほしくない、重たくは思ってはないですけど。…なんかちょっと恥ずかしいですね(笑)。それは言いすぎな気がしますけど、じっさい自分はそんな感じはタイトルマッチでは特にしてます。例えば世界ジュニアもそうだし、大日本もそうだし、どこでもそうですけど。ベルトを持っているっていうのは1番強いってことですから。どっちのやってきたことが正しいのかっていうのがその場は1回答えが出るわけじゃないですか。でもプロレスはそれで引退じゃないので、また闘うときが来るから。チェックポイントみたいな話じゃないですか、それが最終じゃないんで。でもそのときに至ってはそれが最終ですよね、だからハリマオよりは強くありたい、絶対。強くありたいっていうか勝ちたいです。中津さんと樋口さんに勝ちたい。ここまでやってきたことがあるし負けたくないですよね。 ーーこれまでも様々な経験をされてきたと思いますが、ここ最近は特に怒涛の日々だったようですね。 阿部 そうですね。去年くらいから海外にちょくちょくタッグで行くようになって、タイトルマッチをやったり、とんでもない動きの外人達にめちゃくちゃにされたり(笑)。レスラー人生のなかでトップレベルに緊張しました。緊張にもランクがあって、『これより緊張することないだろ』って思ってたら、そのランクがまた上がるんですよ。まだあった、みたいな。そういうのも一緒に乗り越えていまがあります。 ーープレッシャーを乗り越えて以前のアストロノーツよりも強くなっていると。 阿部 そういうプレッシャー乗り越えて強くなってるんで、もちろんいまが過去最高に強くなってると思うんですよ、我々。だから尚更負けたくないなって思います。特に去年と今年は本当にいろんなものを乗り越えてきたと思うんで。それって我々にしかわかんないことですけど、我々はわかってる。それでも相手は負けちゃうかもなって思ってしまうくらいのチームなこともわかってるので、尚更負けたくないです。 ーーアイアンフィストタッグ王座に対しての思い入れを伺えますか? 阿部 アイアンフィストはBASARAでできたベルトで、ユニオンMAXはユニオンの時代からあったものなので。ボク、ユニオンプロレスって知らないので。赤いベルトは高梨(将弘)さんが王者の時に挑戦して、その時はボクが1分くらいで勝ったんですよ。それは高梨さんの足の骨が折れてしまって。 ーー'20年3・24新木場ですね。 阿部 ここではあれなのでそんなに話さないですけど、それでユニオンMAXっていうベルトを持って、いまとなってはすごい思い入れのあるベルトです。このアイアンフィストはBASARAになってからできたベルトなんで、ボクが所属した時に出来たベルトなので思い入れがあります。(フリーになったいまでも)自分の団体って思いはいまでも気持ちはそんなに変わらないので。デザインも形もかっこいいし、ちっちゃくて。ちょっと昔の世界ジュニアっぽさもあるように見えて。 ーー同日にみちのくプロレスの後楽園大会があります。 阿部 そのときに選ばれたプレッシャーはあります。 でも絶対面白いものは見せるし、ボクらが選ばれたっていうのは大切な事だと思います。ボクと野村と中津さんと樋口さんがやるっていうことが大切だし、このカードに引きがないとこの先のプロレスが終わりだと少し思っちゃいます。責任は感じますけど。その責任って、さっきも言ったけど乗り越えてきてるものなんで。乗り越えて、『こっち選んできてよかったな、こっちは生で観といてよかったな』っていう試合はもちろん必ずします。なのでこっちを選んできて観にきてもらって間違いないです。いい試合や面白い試合になるのは当たり前のことなので、我々だからこそのそれ以上のなにかを見せられればなと思います。同世代だし、キャリアも近いし、トップ戦線にいる4人だと思うんで、誰1人にも負けたくないと思ってます。 ーーパートナーの野村選手にも負けたくないと。 阿部 『うわ、コイツヤベえ』って思ったらパートナーより面白いことしなきゃってなってくものだと思ってるんで、我々は。『タッチきちゃった』みたいな、『こんだけ盛り上げられてた、チキショー』って、いわゆる相乗効果だと思うんで。タッグってお互いがバトンを繋いでいくもの。どんどんどんどん熱高めてって、最後に決める。近い人間が一番ライバルだと思います。その上で中津さん、樋口さんにも負けたくない、結果的に全員が同じことを思ってたらスゴいことになる。誰1人として後ろに下がらないような。全部が見どころですよね、中津さんと野村も面白いし。樋口さんと野村も面白いし。でもタッグなんで、そんななかでいかに2人で闘うかっていう考えです。それが昔とは変わったところです。 ーータッグの在り方を見直すタイミングがあったのですね。 阿部 前までは個人で闘って最終2人でみたいな感じだったんですけど、これまで本当にタッグのことを考えたし、2人でたくさん話したし、色々試したりしました。もちろん今も。そして段々いろんな型というか形が出来てきてそこに1人では絶対感じられないやり甲斐と楽しさが物凄くあったんですよ。 そしてお互いケガもあったりして、それを補うようにもなりましたね。『コイツが動けないときは状況整えてタッチしてあげよう』とか。『コイツ、いま首悪いわ』とか当然把握してるんで。言わなくても仕事量増やしたりして。タッグなんで全然違います、シングルと。 ーーその支え合いがいまのアストロノーツの強みとなっているのですね。 阿部 大概一緒に行動するし、練習もしてるし、試合もしてる。お互いが一番お互いの体を知ってる。そこを補いあったりして、逆にそういう時の方が強かったりもします。足りないときのほうが強いこともある、プロレスの面白いところだなと思います。動けないときのほうが哀愁が出て、スゴい面白い試合になったりするんですよね。でもやっぱりなんだかんだ絶対どちらも元気な時が1番強いですね(笑)。6月21日は、我々どっちも絶好調のコンディションと過去最高の強さでハリマオを必ず倒してもう一度あのベルトを我々が巻きたいと思います。皆様のご来場心よりお待ちしております!
週刊プロレス編集部
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