給与未払いのまま、全従業員解雇…「中堅AVメーカー」が破産した理由
仮差押え報道で株価は「1.6倍」に
東京商工リサーチによると、サイバー・バズは2024年5月2日に船井電機を債務者として株式の仮差押命令申立を行い、東京地裁から決定の発令を受けています。船井電機はミュゼプラチナムの債務を保証することを目的とした「広告取引に関する合意書」を2023年4月に取り交わしていました。 日本経済新聞は10月3日、サイバー・バズが9割超の船井電機株を差し押さえた模様だと報じました。これを受けてサイバー・バズ株は急騰。2日の終値は1060円で、3日はストップ高。4日は一時1660円をつけました。2日間で株価は1.6倍に跳ね上がったのです。 それも束の間、船井電機は破産してしまいます。負債総額は461億円。全従業員2000人を解雇し、10月25日に支払われる予定だった給与も未払いだといいます。差押えによって回収できる見込みは限りなく低くなりました。 サイバー・バズは船井電機の親会社である秀和システムやKOC・JAPANなどに対し、22億円の連帯保証債務履行を求める裁判も起こしています。2024年9月13日に東京地裁で第1回口頭弁論が開かれました。2024年3月に秀和などが主債務を保証したとしていますが、秀和は請求の棄却を求めています。
“ノルマを課さない”斬新なビジネスモデル
ミュゼプラチナムは、数奇な運命を辿った会社として知られています。 革新的だったのはそのビジネスモデル。ミュゼが登場する前の美容業界はエステティシャンに厳しいノルマが課されていました。しかし、ミュゼはノルマや無理な勧誘をしないという決断をします。さらに返金対応を行うという、常識破りの仕組みを導入しました。 これによってスタッフは施術に専念でき、利用者は安心して契約ができます。しかし、このモデルを成立させるためには、大量の広告を投下して利用者を集め続けなければなりません。 ミュゼは2010年ごろにトリンドル玲奈さんをメインキャラクターとし、大々的な広告キャンペーンを行って知名度を高めました。