デギンドスECB副総裁、インフレ目標達成に大きなリスク存在
(ブルームバーグ): 欧州中央銀行(ECB)のデギンドス副総裁は29日、インフレ目標の達成を目指す上で大きなリスクに直面するとの見解を示した。上振れと下振れの双方のリスク要因を挙げて説明した。
デギンドス氏は「ユーロ50グループ」がロンドンで開いた会合で、「インフレ率は来年、目標の2%に戻るとわれわれは予想しているが、この見通しには相当なリスクがある」とし、「地政学的情勢、特に中東の情勢はインフレに対する特別な上振れリスク要因だ」と指摘した。
同氏は他の上振れリスク要因として域内企業の利益率や賃上げ圧力を挙げた。一方、下振れリスク要因は金融政策が需要に対し予想以上に大きな影響を及ぼすことや、世界経済情勢が予想外に悪化することだとした。
ECB当局者は現在、6月に見込まれている初回利下げの後、どのくらいのペースの政策緩和が可能かを巡り議論を戦わせている。ユーロ圏経済は昨年後半に緩やかな景気後退(リセッション)に陥ったため、一部の当局者は景気回復を後押しする急ペースの利下げを望んでいる。しかしその一方で、中東情勢の緊迫化がエネルギーコストを押し上げるリスクや、域内サービス部門における物価上昇圧力の持続を懸念する当局者もいる。
デギンドス氏はサービスインフレについて、「2023年7月の6%近いピーク水準から大幅に緩和したものの、昨年後半以来下げ止まっており、直近5カ月のデータでは4%にとどまっている」と語った。
投資家は今年、3回程度の0.25ポイント利下げを見込んでいるが、デギンドス氏は今後の見通しについては当局者はコメントできないとあらためて発言。「われわれは引き続き、データ次第で会合ごとに制限の適正な水準と期間を決定するアプローチに従い、特定の金利の道筋にあらかじめコミットはしない」と話した。
原題:ECB’s Guindos Says Inflation Outlook Faces ‘Substantial Risks’(抜粋)
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Andrew Langley