原発事故後初の福島知事選が持つ意味は 26日に投開票
東日本大震災と福島第一原発の事故後、初めてとなる福島県知事選が10月26日に投開票日を迎えます。福島の復興はこれからで、知事選はその大変な仕事を誰に託すのかを決める重要な選挙です。しかし、今回は選挙戦を通じて政策論争が低調で、投票率は42.42%と過去最低だった前回並か、それを下回る可能性もあるともいわれています。福島県知事選の争点、注目ポイントはどこにあるのでしょうか。
争点になっていない原発問題
まず選挙戦の情勢を見てみましょう。福島県知事選には無所属の新人6人が立候補しています。選挙をリードしているのは、自民、民主、公明、社民の各党などが相乗りする形で支援する前副知事の内堀雅雄氏です。内堀氏は過去2回の選挙で民主、社民両党県連の支援を受けた佐藤雄平知事の後継者で、福島民報、河北新報といった地元紙は「内堀氏、全県で優位」「内堀氏優位変わらず」と伝えています。この内堀氏を共産党や新党改革が支援する元宮古市長の熊坂義裕氏が追う展開となっていて、前双葉町長の井戸川克隆氏など、ほかの4人は伸び悩んでいるとされています。 では、選挙の争点はどんなものなのでしょうか。福島と聞くと、多くの人が原発問題がポイントになると思うはずです。しかし、今回の選挙で原発は争点になっていません。2011年以降、福島の大きな選挙では県内原発の廃炉が主張されていて、今回もすべての候補者が「県内原発の全基廃炉」を掲げています。そのため原発問題が争点になりづらいのです。
巨大すぎる「3.11後」の課題
また、福島県の最大の課題が津波被害や原発事故からの復興にあるのは言うまでもありませんが、この問題の巨大さが逆に選挙の争点を見えにくくしている部分もあります。復興の課題は、被災住民の住まいの確保など1日も早い避難生活の解消、放射能物質で汚染されたがれきなどの処理や除染の加速、中間貯蔵施設の問題、風評被害対策、地域経済の再生と、きわめて多岐にわたります。これらの課題は個別に存在しているものではなく、すべてが「3.11後のテーマ」として繋がっています。課題が多すぎるために、候補者によって力を入れる問題にばらつきがあり、選挙の争点が見えにくくなっているのです。