「ここにいたい」「家に帰りたくない」…少年院生活に依存するコウタ(17)が明かした“意外な本心”
〈「いい子でいようって思っていました」虐待きっかけで非行に走った少年(17)が、それでも親からの暴力を正当化してしまう“哀しい理由”〉 から続く 【写真】この記事の写真を見る(2枚) 本人や家族、周囲の人間関係……。さまざまな問題に端を発し、非行に走ってしまう少年少女がいる。彼らは何を思い、どのように未来を見つめているのか。 ここでは、作家、映画監督の中村すえこ氏の著書『 帰る家がない少年院の少年たち 』(さくら舎)の一部を抜粋。窃盗を犯し、少年院に収容されたコウタ(17)のエピソードを紹介する。(全4回の2回目/ 続き を読む) ◆◆◆
少年院の矯正教育
コウタの収容されている多摩少年院は、2023年に創立100周年を迎えた歴史ある少年院だ。日本で最初にできた少年院で、少年矯正の転換期をすべて経験してきた少年院でもある。 少年院には、家庭裁判所の決定により保護処分として送致された少年が収容される。収容期間はおよそ1年で、その間、在院者の特性に応じて体系的・組織的な矯正教育がおこなわれている。 法務省によれば、矯正教育は、善良な社会人として自立した生活を送るための基本的な知識や、生活態度を身につけるための生活指導、職業上有用な知識や技能を身につけるための職業指導、教科指導、体育指導などが組み合わされている。 現在、少年院は第1種から第3種に分類されており、多摩少年院は第1種にあたる。どの少年院に送致されるかは家庭裁判所で決まる。少年院の分類はこのようになっている。 【第1種】 心身にいちじるしい障害がない、おおむね12歳以上23歳未満の少年が収容される施設 【第2種】 心身にいちじるしい障害のない、おおむね16歳以上23歳未満の、犯罪傾向が進んだ少年が収容される施設 【第3種】 心身にいちじるしい障害がある、おおむね12歳以上26歳未満の少年が収容される施設 基本は男女別の施設だが、第3種となる医療少年院は同じ施設になる。そのほか、刑の執行を受ける16歳未満の者を収容する第4種少年院があり、また、令和4(2022)年の少年法改正により、保護観察中の重大な遵守事項違反があった場合に、特定少年(18歳・19歳)を一定期間収容する第5種少年院が新たに設けられた。ちなみに、本書執筆時において、第4種少年院には、まだ1人も収容されたことはない。 多摩少年院は関東近県の1都10県において、第1種少年院送致決定を受けた、おおむね16歳5ヵ月以上の少年を収容する施設だ。第1種少年院では、矯正教育課程として、社会生活適応を円滑に進めるための各種指導をおこなう社会適応課程ⅠT(A1)、対人関係スキルを養い、適応的に生活する習慣を身につけるための各種指導をおこなう支援教育課程ⅢV(N3)などがおこなわれている。
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