おじさんホイホイ!昭和50年代の名車5選 スポーツカー編
■三菱 ランサーターボ(2代目・A170)
2代目ランサーは昭和54年(1979年)にデビューとなったモデルです。当時は三菱のコンパクトモデルという位置づけで、大きな窓や広い居住空間を確保する8角断面のボディ形状を採用し、シンプルでクリーンな印象と実用的な雰囲気の4ドアスポーツセダンでしたが、今回取り上げたいのは、2代目ランサーのなかでも「1800ターボ」というグレードのモデル。 G62B型シリウス80エンジンにECIと三菱製のTC05ターボチャージャーを装着し、最高出力135psを発揮したスポーツモデルでした。このランサーターボは、三菱が世界ラリー選手権で活躍したことで、ファンの間で「ランタボ」の愛称で親しまれ、1990年代の「ランエボ」が大活躍する世界ラリー選手権へと繋がる礎となりました。
■日産 フェアレディZ(2代目・S130)
ヨーロッパの高級GTカーを目指して開発された初代のS30フェアレディZの魅力を継承しつつ、より快適で性能の高いスポーツカーとして進化した、2代目S130フェアレディZ。デビューは昭和53年(1978年)、直6エンジン搭載車の証とも言える長いボンネットと流麗なスタイリングを踏襲しながら、空力性能が追求され、機能美にさらに磨きがかかりました。 初代と2代目に搭載されたL型直6エンジンは、重量は嵩む代わりにレースでの耐久性に優れるという特徴がある鋳鉄製のブロックを採用していたことで、特別な補強をせずにチューニングが可能で、そのため、当時は多くのエンジンチューナーが様々な部品を組み合わせて思い思いにカスタムを楽しんでいました。
■トヨタ MR2(初代・AW11)
最後に取り上げたいのは、軽量ミドシップスポーツカーとして人気だったトヨタ「MR2」です。初代モデルは昭和59年(1984年)に登場、ウェッジシェイプデザインにリトラクタブルヘッドライトというスポーツカーの王道をいくスタイリングですが、一番の特徴は、やはりミッドシップレイアウトで2人乗りのクーペというパッケージングでしょう。 ダッシュボードやスパルタンな雰囲気のメーターフード、スイング式スイッチ、タイトな室内空間など、インテリアはスポーティなコックピットに仕上げられており、その斬新な個性に多くのクルマ好きが反応したものでした。 当時は、ミドシップスポーツカーといえば、海外製のスーパーカーに限られていましたが、トヨタは、5代目カローラのパワートレインを流用し、エンジンとトランクの位置を前後逆に入れ替えた独自のレイアウトを開発。これによって、コストを抑え、若者でも買いやすい価格で提供することを可能にしました。「頑張れば買えるスポーツカー」が存在するというのは、当時のクルマ好きの若者にとって、幸せなことでした。
■まとめ
昭和50年代はオイルショックや排ガス規制など、スポーツカーにとってはかなり厳しい時代でしたが、飛躍的な技術の向上によって、こうした魅力的なスポーツカーが数多く世に送り出されました。こうして振り返ってみると、日本メーカーの底力を世界へ向けてアピールができた、よき時代だったなあと改めて感じます。 Text:Tachibana Kazunori,MMM-Production Photo:MAZDA,NISSAN,TOYOTA,MITSUBISHI