三浦知良加入の鈴鹿 朴康造・新監督の手腕に期待
【ベテラン記者コラム】 サッカー元韓国代表MF朴康造さんが日本フットボールリーグ(JFL)、アトレチコ鈴鹿の新監督に就任する。現役時代にJ1ヴィッセル神戸などで一緒にプレーし、憧れの存在である元日本代表FW三浦知良が期限付きで同チームに加入するのに合わせ、オファーを受け入れた形だ。 兵庫県出身で、高校サッカーの名門、滝川二高からプロの世界に入った朴さんは解雇や韓国Kリーグ挑戦、韓国代表選出、靱帯(じんたい)損傷の大けがなど山あり谷ありのサッカー人生を送り、2012年に現役引退。ヴィッセル神戸のスクールコーチを経て、女子サッカーのINAC神戸へ。22-23年には監督としてチームを率い、13勝5分け2敗の好成績を残したが、目標に掲げていた連覇を逃したことから、クラブの慰留を振り切り、1季限りで辞任した。23-24年シーズンもテクニカルダイレクターとしてINAC神戸に残り、後任のスペイン人指揮官をサポートするなどしていた。 右サイドのスペシャリストとして活躍した現役時代、ストイックな姿が印象的だった朴さんは「ギラギラした勝負の世界、煮えたぎるような世界が好きだった」と振り返る。しかし、スクールコーチ時代に子供たちや保護者と接して話し方なども勉強。INAC神戸で〝1年生監督〟として女子選手を指導する中で「選手たちを常にリスペクトする。自分の考えを頭ごなしに押し付けるのではなく、対話しながら」とのモットーを持つようになった。 INAC神戸の指揮官に就任する際には、三浦から「ピンチになったら原点回帰を目指せ」との激励の言葉をもらった。その金言を胸に、プロの監督としての道を歩み始めた朴さんはかつて「原点回帰」の効能をこう説明していた。 「立ち返るところがはっきりしていれば、何かあったときに、それをすればいいという気持ちになれる。こういうサッカーで選手たちと向き合えばいいという原点を持っておけば、迷ったときに『戻るところがある』と安心できる」 指揮を執る初の男子チームとなるアトレチコ鈴鹿では、兄事する三浦に監督と選手の立場で接することになる。ときには厳しい判断を迫られるかもしれない。