箕面で圧巻の山伏大行列 商店街活性化へ地域と連携も
箕面で圧巻の山伏大行列 商店街活性化へ地域と連携も THEPAGE大阪
大阪府箕面市の阪急箕面駅前から瀧道にある瀧安寺にかけて「山伏大行列」が年3回行われている。これは、瀧安寺の「採灯大護摩供(さいとうだいごまく)」の前作法として復活した伝統行事だ。山伏装束に身を包んだ100人ほどの修験者たちが、ほら貝を吹きながら練り歩く。その勇壮な姿はまるで時代劇のワンシーンのようで、切り取った絵葉書さながら紅葉の風景とも溶け込む。さらに大護摩供では凄まじい白煙が立ち込め、火柱があがる。こちらも圧倒的な迫力だ。実はこれらの行事は地域の定期市「箕面山七日市」と連携し、地元商店街の活性化といった経済効果にもつながっている。いったいどんなものなのか、ちょっと足を運んでみた。
地元の定期市と連携し活性化へ見どころを形成
「箕面山七日市」は、2005年(平成17年)7月から毎月7日に開催されている定期市だ。もともと毎月7日に瀧安寺では護摩供が行われており、4・7・11月の年3回は関西一円から山伏が集まり、境内の護摩道場において世界平和をはじめ有縁者の諸願を祈願する「採灯大護摩供」が執り行われる。 この日に合わせ、山伏大行列も復活し、今や「箕面山七日市」の見どころのひとつになっている。 七日市について、もう少し説明を加えると、昭和20年代頃までは五穀豊穣などにご利益があるとされる護摩供は大変な賑わいだったようだが、高度成長期に入り、農業人口の減少とともに次第に廃れていったという。 そこでかつての賑わいの門前市を復活させようと、箕面駅周辺の商店街(約130店舗)や瀧安寺、西江寺、箕面商工会議所、箕面FMまちそだてなどが協力して立ち上げたのが「箕面山七日市」だった。七にちなんだ特典が用意されているほか、限定商品の販売や寄席などもある。
大護摩供と山伏大行列との連携で商店街にぎわい
「箕面の場合、滝にはお客さんが多いんですが、滝から帰ってきた時に、商店街にもお客さんをもっと呼ぼうということで、七日市のイベントが生まれました。護摩供と合わせものですが、同じタイミングで山伏大行列も復活しました。リピーターは着実に増えていると思います」(箕面市役所関係者) 大護摩供と山伏大行列との連携で、地元商店街の賑わいが戻り、この定期市は地域活性化の成功モデルとも言われている。 この日、箕面の駅前には続々と山伏装束の男女が集結。その数、100は超えているだろうか。朝10時になると、いよいよ行者たちが間近くそびえる箕面山に向けて出発。駅前から瀧安寺まで約30分、箕面川の渓流を望みながら瀧道(駅前から滝に続く遊歩道)を列をなして歩き、ほら貝を吹く。紅葉とも相まって眺望絶佳で、カメラや動画を撮影するファンの姿も多く、こんな光景はここでしか見られないだろう。 ちなみに瀧安寺は役行者が建立した修験道の大本山。日本最古の弁財天が祀られているほか日本の宝くじ発祥の寺としても知られる。
桧葉を燃やすという大がかりな儀式
やがて一行が瀧安寺に到着すると、行者堂戸閉法要のあと、「採灯大護摩供」が執り行われた。厳かな山伏問答や法弓、法剣、斧の儀などがあり、さらには桧葉を燃やすという大がかりな儀式だ。 ついに火が点されると、次第に辺り一面に煙が立ち込め、炎があがる。見学の人たちも、ひたすら儀式を見守っていた。 また、商売繁盛や家内安全など護摩木を販売中で、そこに氏名などを書いて一緒に燃やせば、炎と煙が天界に到達することで願いが届くと言われる。 (文責/フリーライター・北代靖典)