ずばり、ライバルはトヨタ「ヤリス クロス」とホンダ「ヴェゼル」…オペル「モッカ」に日本市場で活躍して欲しい私的な理由とは【Key's note】
超高性能ではないが欧州で愛される理由を体感
試乗車が搭載するエンジンは直列3気筒の1.2Lターボ。ディーゼルエンジンも含めると3タイプのパワーユニットがあります。そのなかのもっとも非力な100psユニットでしたが、それでも最高速度は200km/hを記録(アウトバーンの下り区間でしたが……)。また、フットワークもしなやかでした。決して刺激に満ちあふれたスポーティなフィールではありませんでしたが、欧州基準を満たしていることがわかったのです。ヨーロッパで人気なのは理解できました。 スタイリングも垢抜けているように感じました。オペルは伝統的に大衆車感の強い質素なデザインが主流でしたが、モッカに与えられたやや眼光の鋭いフロントマスクやシルエットのテイストは、新世代のオペルアーキテクチャーであり、アイコンとして展開されていくものです。日本人のセンスにも支持されるような気がしました。その意味も含めて、冒頭で紹介した高評価の独り言なわけです。
はたして日本再上陸の目は……?
もっとも、2022年に予定していた日本最上陸は、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻の影響で延期になっています。その後公式のアナウンスがありませんから、再上陸は中止なのか延期なのかもわかりません。ただこれだけは予感できるのは、BセグメントSUV市場には強力なライバルがひしめいています。その市場で売れるには、ライバルたちを超越する個性が求められます。その点でモッカが太刀打ちできるのか、やや心配も残るのです。 大衆車ブランドが群雄割拠する日本市場に殴り込んでくる黒船としては、話題になるようなモデルもなさそうでしたし、そもそもシュリンクする日本市場で勝機があるのだろうかと疑問に思ったからです。 ともあれ、いちユーザーとしては選択肢が増えることは歓迎したいですよね。やや無責任な言い方ですが……。 じつは僕はかつて、オペルとも深い関係があり、モータースポーツを志していた時期がありました。そういう意味では他人事には思えないのです。日本市場にてモッカが活躍することを心から期待しているのも正直な気持ちです。
木下隆之