『【推しの子】』の舞台地に“神の町”「高千穂」が選ばれた深い理由 この地が秘める“すごいポテンシャルの正体”
「鉄道」といっても正式な鉄道ではなく、かつて鉄道だった線路を活用して、そこにトロッコ列車を走らせるという、いわゆる「保存鉄道」としての観光列車です。 もともとは延岡市から高千穂まで走っていたかつての高千穂鉄道(旧・国鉄高千穂線)で、2008年に廃止された線路の一部(末端の5.1キロ)を使って、2013年からトロッコ列車を運行しています。 出発点は、「高千穂駅」。山深い高千穂町の中心部、谷底のような場所にあります。筆者が前に来たのは30年前の高千穂鉄道時代ですが、駅舎内には、今でも当時のままの時刻表や車庫が残されており、懐かしさを感じる空間になっていました。
その廃線跡を走る、「グランド・スーパーカート」と呼ばれるトロッコ車両は60人乗り。トロッコはこの高千穂駅から家族連れなどを満載して出発すると、さわやかに風を切って進みます。トンネル内では、車両に設置されたプロジェクターから発する光の演出も。乗客を飽きさせません。 そして、車窓のハイライトは、高千穂鉄道時代、日本一の高さの鉄道橋として知られた「高千穂鉄橋」です。水面までの高さ105メートル。トロッコは橋の真ん中で停止します。ここで運転手さんがシャボン玉を飛ばしてくれるサービスがあります。
トロッコは高千穂鉄橋を渡り切ったところで折り返し、「天岩戸神社」の最寄り駅だった天岩戸駅跡を通り過ぎて高千穂駅に戻ります。往復30分のトロッコ列車の旅です。 ■いざ、『【推しの子】』と日本神話の聖地、高千穂へ 世界的ヒットで実写化も話題となっている『【推しの子】』。その舞台地である高千穂は、実際に行ってみると、漫画に劣らず神秘的で、歴史やスケールの大きさを感じる町でした。 11月から、高千穂の聖地巡礼スポットで特別な音声ガイドが聞ける、「【推しの子】×高千穂町」のコラボキャンペーンもスタートしています(2025年3月末まで)。
作品をきっかけに高千穂の奥深さに触れることで、改めて日本神話の聖地巡礼にも出かけてみたくなる、そんな魅力あふれる町だと思います。 【写真を見る】「【推しの子】といえば…」外せない“聖地”と可愛すぎるトロッコ列車(10枚)
古関 和典 :ロケ地研究家、コンテンツツーリズム研究家