『【推しの子】』の舞台地に“神の町”「高千穂」が選ばれた深い理由 この地が秘める“すごいポテンシャルの正体”
アニメ作品でいうところのいわゆる「転生もの」ですが、芸能界を取り巻くそのストーリーには、「芸能界の闇」もリアルに描かれていて、サスペンスの要素もあり、実写ドラマ化や映画化とともに注目度がますます高まっています。 その『【推しの子】』では、原作の第1話(テレビアニメの「プロローグ」)にいきなり高千穂が登場します。主人公のアクアとルビーが生まれたのが高千穂なのです。そして、テレビアニメの第6章「プライベート編」でも、PV撮影の行われた重要な舞台として、高千穂のさまざまな場所が描かれているのです。
■なぜ「高千穂」が舞台地に選ばれたのか では、なぜこの日本古来の「聖地」が、注目コンテンツである『【推しの子】』の聖地として再び脚光を浴びることになったのか。 旅行会社に勤務しながら、さまざまなコンテンツ作品の制作に関わり、プライベートでもロケ地研究家として全国の「聖地」を巡ってきた筆者が、改めてその魅力についてお伝えします。 宮崎県といえば、温暖な気候と美味しい魚やマンゴーに代表されるフルーツ、そして美しい海が印象的な県であり、古くから新婚旅行の人気地として定着していました。
しかし、実写の「ロケ地」としては、東京からの物理的な距離や交通の便の関係から、ロケ隊が訪れるには少々大変だということもあって、他県と比較すると撮影頻度はあまり多くはありません。 一方で近年、ロケの必要のないアニメーション作品には、宮崎県が登場する機会が増えてきています。 たとえば、『すずめの戸締まり』(2022年、新海誠監督)では、県南部の日南(にちなん)市(油津港〈あぶらつこう〉周辺)とも思われる場所が、ヒロイン「すずめ」のふるさととして描かれています。また、すずめの名字が「岩戸」なのも、高千穂の天岩戸からとったのではと思われます。
高千穂という地域は、今でもたくさんの神社があり、神秘的な独特の雰囲気を醸しています。数々の神話が生まれた、その神秘的なストーリー性こそが、『【推しの子】』の持つ「転生」の世界観にマッチしたのではないでしょうか。 また、作品にも登場する「荒立神社(あらたてじんじゃ)」。ここは、芸能の神様として有名で、ぶら下がっている木槌で、木の板を7回たたくと、芸能成就など7つのご利益があるそうで、芸能人もたびたび参拝に訪れるのだとか。芸能界をテーマとする『【推しの子】』には不可欠な場所であるといえるでしょう。