先発を志願して契約更改で揉めた西武の平良海馬に西口新監督が2025年のストッパーを任命した理由とは?
迎えた同13日に行われた2度目の交渉で、平良は一転して5000万円減の年俸2億円プラス出来高払い(推定)でサインした。出来高の部分で上積みが提示され、そこに球団側の熱意と期待を感じ取った平良が歩み寄る形で中継ぎを承諾した。 平良自身は「セットアッパーでも抑えでもどちらでもいい」と考えていたという。しかし、直後のタイミングで西口監督が平良へ連絡を入れて、2025シーズンにおいて、プロ8年目で初めて開幕から抑えを任せると告げた。西口監督が言う。 「ウチで先発とどちらが弱かったのかといえば、どう見ても中継ぎのほうなのはわかりきった話なので。そこでまずは軸となるところ、つまり後ろをしっかりと決めたかったし、信頼して任せられるのは平良だと考えていた。そこはこだわっていきました」 昨シーズンの西武は、ルーキー左腕の武内夏暉(23)が防御率2.17で2位に、リーグ最多の187奪三振で初タイトルを獲得した今井達也(26)が同2.34で3位に、3年目左腕の隅田知一郎(25)が同2.87で8位とトップ10に3人が名を連ねた。 先発陣の防御率2.85は、ソフトバンクの2.50に次ぐリーグ2位。対照的に救援陣の防御率3.41は楽天の3.63に次ぐワースト2位で、トップのソフトバンクの2.58に大差をつけられた。救援陣のてこ入れが急務な状況で、平良が最後に控える陣容で生まれる安心感を介して、先発陣を含めた投手陣全体を立て直していく。 平良に寄せる信頼の厚さを、指揮官はあらためてこう語っている。 「平良に関して言えば、ある程度ビジョンが見えている。制球力もいいし、ここぞという場面で三振も取れるので、信頼して最後を任せられると考えています」 昨年末にはドミニカから、西武がアブレイユと再契約する、というニュースが飛び込んできた。その後は具体的な動きは見られないが、たとえ報道通りの状況になっても、西口監督は平良を抑えで固定していく心づもりでいる。 それは指揮官が口にした、こんな言葉からも伝わってくる。 「もちろんタイトルを取ってほしいし、取ってもらうためには勝った状況で平良につなげていかなきゃいけない。どのようにして最後につなぐのかが大事になってきますよね」 言うまでもなくタイトルとはセーブ王であり、シーズンを通して守護神を務めなければ手が届かない。5位のオリックスに14ゲームも離される、屈辱的な最下位からの巻き返しを期す西武のカギを握る平良は、生まれ育った石垣島で自主トレを行い、抑えに必要な心技体を整えて2月1日の宮崎・南郷キャンプ初日に臨む。 (文責・藤江直人/スポーツライター)
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