今江が語る、ロッテ逆襲のシナリオ
逆襲のキーポイントは成瀬、唐川の復活
前半戦を振り返ってみれば、首位の楽天には、よく打たれているイメージがあります。ジョーンズ、マギーの2人の外国人選手だけじゃなく、楽天の選手は、なぜかロッテ戦になると、「よう打つなあ」と感じます。連勝中のマー君が、千葉ロッテ戦に先発してきたのは、1試合だけですが、則本昴大という新人選手が出てきました。僕はハッキリ言って嫌いではないタイプの投手なのですが、真っ直ぐも速く、スライダーの曲がりも大きい、素晴らしいピッチャーです。 唯一負け越している西武にも打たれているイメージが強いのですが、やはり負けている相手には、バッターが打てず、ピッチャーも打たれるという悪循環が目立ちます。 そして西武戦では、僕が打っていないことが敗因です。特に西武ドームでは打っていません(打率.143)。西武ドームは、他球場に比べてマウンドが少し低いのですが、その違和感からか、僕には投手が近くに感じてしまっています、昔は、そんなことを気にせず西武ドームで打てていたのですが、意外と打者とはセンシティブな生き物です。 仙台のKスタ宮城でも数字が悪いので(打率.214)、この2箇所のスタジアムでは、僕なりに何か対策を練らないといけないのですが、色々と試してみても、現在のところはなかなかうまくはまらないのです。 二刀流で話題となった日ハムの大谷翔平選手は、ピッチャーとしても、まだまだn伸びしろのある選手ではないでしょうか。ストレートは最速157キロを記録してスライダーも大きい。そしてバッターとしても凄すぎます。手足が長いのに柔らかい。片手で札幌ドームのバックスクリーンの左まで運んでいたでしょう。羨ましい。それが率直な感想です。とにかくパ・リーグのピッチャーは、みんなボールが速いのです。セ・リーグとの交流戦を間に挟むと、それをつくづく実感します。 僕が偉そうに書ける立場にありませんが、後半戦でチームが楽天を追い抜き再び首位に返り咲く逆襲のキーワードは、成瀬善久(6勝3敗)、唐川侑己(5勝6敗)の復活じゃないでしょうか。野球はピッチャーです。打線がカバーするのが理想ですが、毎試合、打ち勝つというゲームは、そうそう作れません。どうしてもピッチャーにおんぶにだっことなります。ここまで成瀬、唐川の2人は勝ちに恵まれなかったり、怪我に苦しんだりという展開がありましたが、本来の姿で復活を遂げてくれると、チームに勢いと安定感が生まれます。 過去に僕は日本一を2度経験していますが、リーグ優勝は一度もなく、その2度ともに2位と3位でした。クライマックスシリーズから勝ち上がって“下克上日本一”と呼ばれました。「どうせ3位なんだから負けて元々じゃないか、ワイワイと楽しくやろうぜ」というメンタルが勢いに変わって、結果につながりました。絶対に勝たなければならないというプレッシャーの中を勝ち抜いた経験や力もありません。勝たなければならない状況下に置かれて勝てるチームには、必ず投打に軸があります。絶対的なエースに頼れるバッターです。 その意味でも、成瀬と唐川の復活を願うのですが、人のことをとやかく論じる前に打線では、もっと僕が頑張らなければならないのです。 ロッテは、つながりの打線ですが、ブラゼルが来てくれて、ひとつの起爆剤が出来ました。パワーがあるのに実は、柔らかいバッティングは素晴らしく、さらにホームランを量産すると思っています。正直、野手の立場からすれば、外国人選手が補強されると心境は複雑です。ポジションがかぶっていなくとも、誰かが9人から追い出されるわけですから必ずチーム内競争が起きます。間違いなく競争心があおられます。ウカウカしているわけにはいきません。 さあ、明日から千葉ロッテの逆襲が始まります。優勝を期待されているプレッシャーにどう打ち勝つのか。千葉ロッテに新しい歴史の1ページを刻みたいと、新たな決意を固めまています。 (文責・今江敏晃/千葉ロッテマリーンズ内野手/写真・平野敬久)