米金利高止まり、いつまで続くか-債券市場は恒久的とのサイン発信
JPモルガン・チェースの米インフレ戦略責任者、フィービー・ホワイト氏は「家計や企業の一部に金利上昇の痛手がうかがわれるものの、システム全般としては、非常にうまく対処しているのは明らかだ」と語った。
金融市場の動向からも米金融当局の政策が十分に景気抑制的でないことが推測される。パウエル議長が金融政策のインパクトを計測する目安の一つとして言及した期間が短めのインフレ調整済み金利は2022年以降、約6ポイント上昇しているが、S&P500種株価指数はほぼ連日の最高値更新を記録するなどしてきた。
パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の短期ポートフォリオマネジメント・ファンディング責任者、ジェローム・シュナイダー氏は「実質利回り上昇にもかかわらず、マーケットは信じられないほど底堅い」とコメントした。
ブルームバーグのクロスアセットストラテジスト、ベン・ラム氏は、米金融当局者が従来2.5%としてきた長期的な名目FF金利の推計(中央値)を3月と6月の金利予測分布図(ドット・プロット)でそれぞれ2.6%、2.8%と連続して上方修正した点に言及。「世界中の中央銀行が現行サイクルで見られた景気拡大とインフレについて把握しようと、引き続き取り組んでいることを示している」と解説した。
その上で「このような理由から、年内ほぼ2回の米利下げを市場が現在織り込んでいるのは水増し気味の期待だと見受けられる」との見解を示した。
ウォラーFRB理事をはじめとする数人の例外を除き、米金融当局者の大半は中立金利の推計を上方修正しつつある。しかし、そのレンジは2.4-3.75%と幅があり、推計の不確実性を浮き彫りにしている。
パウエル議長は今月11、12両日の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後の記者会見で、中立金利が上昇したか否かは「われわれには分かりかねる」と述べ、当局の政策判断上の重要性に否定的な認識を示唆した。