米金利高止まり、いつまで続くか-債券市場は恒久的とのサイン発信
トレーダーは最近の取引で、米金融当局が7月にも利下げする確率が高まれば利益となる逆張りポジションを積み上げ、債券相場上昇で利益が生じる先物への需要も活気づいている。
だが、中立金利が恒常的に上昇したとの市場の推測が正しければ、金融当局が現在5.25-5.5%としているフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは想定されているほど景気抑制的でない可能性がある。実際、ブルームバーグの指数は米金融状況が比較的緩和気味であることを示唆している。
アンリミテッド・ファンズのボブ・エリオット最高経営責任者(CEO)兼最高投資責任者(CIO)は「経済成長の減速ペースは極めて緩やかで、中立金利が有意に高まったことを示唆している」と指摘。現行の経済情勢や長期債に織り込まれているリスクプレミアムが限定的な点を踏まえれば、「債券よりもキャッシュの方に説得力がある」と話した。
「r*(Rスター)」とも呼ばれる中立金利の水準自体も白熱した議論の対象となっている。過去10年間にわたる下降トレンドから、上昇に転じている可能性の理由としては、多額に上る長期の財政赤字見通しや、気候変動対策の投資増大の予想などが挙げられている。
米国債相場のさらなる上昇には、インフレ率と成長率に一段と顕著な減速が見られ。米金融当局に現在の想定よりも早急かつ大幅な利下げを促す必要がありそうだが、中立金利が上昇しているとすれば、こうしたシナリオが実現する可能性は小さくなる。
28日には米金融当局がインフレ指標として重視する個人消費支出(PCE)価格指数が発表される。変動の大きい食品とエネルギーを除く5月のPCEコア指数は、前年同月比2.6%上昇と前月の2.8%上昇から鈍化し、2021年3月以来の小幅な伸びとなると見込まれている。ただ、それでも2%の当局目標を引き続き上回っている。このほか、失業率は過去2年余りにわたり4%以下で推移し、1960年代以来の好調となっている。