バナナの大木は草?咲くやこの花館に熱帯フルーツ集合
色鮮やかな熱帯フルーツを集めた「トロピカルウイーク展」 THE PAGE大阪
大阪市鶴見区の大型温室植物園「咲くやこの花館」で、色鮮やかな熱帯フルーツを集めた「トロピカルウイーク展」が開かれ、ひと足早く夏が来たような雰囲気だ。個性派ぞろいの熱帯フルーツは、どんなふうに栽培されているのか。ミニガイドと日替わり味わい体験で、熱帯フルーツ通になろう。
日本では珍しい料理用バナナの試食会も
館内に調理器が持ち込まれた。スタッフが手際よくバナナを輪切りにし、油で揚げ、フライパンで炒める。植物園ならずとも、あまり見かけない光景だが、このバナナは生食用ではなく、料理用のバナナ。甘くはないが、加熱することでほのかに甘くなり、東南アジアなどの熱帯地域では、おかずの食材として重宝されている。 日々の食卓を飾っているが、家庭料理のためか、日本人旅行客が現地を訪れても食べる機会は少ないという。試食した来館者からは「甘くないサツマイモみたい」「カレーライスに入れるそうだけど、バナナと気づかずイモだと思って食べてしまうかも」などという感想が返ってきた。 トロピカルウイーク展では期間中、日替わりで特定の熱帯フルーツをテーマに設定。熱帯フルーツ全体のミニガイドと、日替わり味わい体験を組み合わせて、熱帯フルーツの奥深い世界を知ってもらう。
フルーツ栽培の全体像に創造力を
マンゴー、パパイヤ、アボカド、パイナップルなど、おなじみの常連フルーツから、レイシ、ゴレンシ、ピタヤ(ドラゴンフルーツ)、クダモノトケイソウなど、あまり知られていないニューフェイスまで、十数種類の熱帯フルーツをまとめて展示している。 ゴレンシは英名がスターフルーツで、輪切りにすると切り口が美しい星形になることから、女性の人気が高い。展示の特色はフルーツの実と、実のなる植物本体を、同時に観察できることだ。 久山敦館長は「店頭に並ぶフルーツからは、生えている姿を想像しにくいかもしれない。バナナが成長すると見上げるほど背が高くなるが、木ではなく草の仲間だ。パイナップルも多年草で、立派な実を付けるが、大木の枝先ではなく地面近くで収穫される」と解説する。栽培種は人間が果実を採取しやすいよう改良されてきたため、原生種と姿かたちが大きく違う。栽培方法も植物によって異なる。 久山館長は「熱帯フルーツがどんなふうに栽培されているのか、全体像に思いを巡らせてほしい。栽培されているバナナは品種が限られ、病原菌の感染が世界規模で広まり大打撃を被る危機をはらんでいる事実も、頭の隅に置いておいていただきたい。バナナやパイナップルは館内に生えていますから、見つけて観察してみてください」と呼びかける。