パンダの繁殖において実績を誇る【マレーシアのパンダ事情】 旅立ったパンダ3姉妹の現在も紹介
貨物機で約4時間後に成都到着
イーイーとシェンイーがパンダ館を出たのは午後4時30分過ぎ。1頭ずつケージに入った状態で運び出され、フォークリフトでゆっくりと車に積まれました。姉妹は別々の車にのせられます。最初はイーイー。次がシェンイー。イーイーは落ち着かないのか、時おりケージの中で立ち上がっていました。 車がパンダ館を出発すると、園内では多くの観客が見送り、別れを告げました。手作りしたパンダの旗を振っている人や涙を流している人、抱き合い慰め合っている人もいました。 姉妹が入ったケージをのせた車は30分ほどでクアラルンプール空港に到着。ケージはマレーシア航空の貨物機「MAS6476」便に積み込まれました。ネガラ動物園によると、輸送費を節約するため姉妹一緒に中国へ送ることにしたそうです。 ネガラ動物園からは獣医師と飼育員の計2人が一緒に中国へ行き、数日間滞在します。貨物機は、現地時間で午後11時頃にクアラルンプール空港を飛び立ち、8月30日(水)午前3時過ぎに中国の成都双流空港に着陸しました。マレーシアと中国の間に時差はありません。 成都の空港からどこへ行くのか、8月29日(火)にネガラ動物園の広報担当者に質問したところ、「政府の要請で答えられないことになっています」との回答でした。2頭の中国到着後、行き先は四川省にあるパンダセンターの「臥龍中華大熊猫苑神樹坪基地」(以下、神樹坪基地)だと判明しました。
シェンイーに会うため中国の神樹坪基地へ行くと……
イーイーとシェンイーは今後、神樹坪基地で繁殖を目指すのか、あるいはヌアンヌアンのようにほかの施設へ移されるのか、明らかになっていません。 神樹坪基地は、野生のパンダの生息地に近く、夏でも比較的涼しい場所です。パンダは暑さが苦手なので、熱帯のマレーシアでは冷房の効いた屋内で過ごしていましたが、中国では屋外に出られます。 筆者は2017年3月、2023年6月と10月に神樹坪基地を訪れました。2023年10月13日(金)は、イーイーはまだ公開されていないものの、シャンイーは検疫を終え、すでに屋外で公開されているとの情報を入手していたので行きました。でもシェンイーを目にすることは叶いませんでした。 もしかしたら午前9時の開園直後なら、シェンイーは屋外にいたのかもしれませんが、あいにく筆者はこの日、早い時刻の長距離バスのチケットを取れず、到着が正午近くになってしまいました。屋内は非公開です。