羽生のSP世界最高得点を生んだ新好敵手の存在
ステップ、スピンも、最高のレベル4と評価され、技術点は、すべての要素でGOEを得た。表現力、芸術性をあらわすファイブコンポーネンツは、すべてが9点台。審判の一人は、3項目に満点の10・00を付けたほどだった。 フィニッシュの瞬間、笑うことなく、まるで夜叉のような厳しい表情で見せたのが、印象的だった。 「ジンクスのようなものがあった(SPで)やっとノーミスでできた。練習してきたことが間違ってなかった。驚きやうれしさよりもホッとした。でも、まだまだできることはいっぱいある。最初の(4回転)サルコウは、もっと評価をいただける入り方や下り方を予定しているジャンプ。後半に4回転を入れたりだとか」 試合後の羽生は、満足することなく、さらに上を向いていた。 前述の今川さんも、「凄いという表現しかないですね。ジャンプだけでなく、ステップや、表現力、すべてが、今、彼のできる最高の演技です。この最高難度のショートプログラムをノーミスで滑れば、世界でさらに上へ行く選手は、今のところ見当たりません。一人違う域に入ったように思えました」と絶賛した。 金というライバルの出現が、羽生のモチベーションにまた火をつけてしまったようである。