24年春「私鉄新ダイヤ」コロナ禍を脱してどう変化した? 目立つ「小さな改善」、削減された列車の復活も
3月に鉄道各社が実施したダイヤ改正。首都圏の通勤路線では、朝夕の快速廃止で物議を醸している路線がある中で、速達列車の停車駅の見直しや各駅停車との接続の工夫によって便利になった路線も複数ある。すでに改正の効果や影響を実感している人も多いだろう。 【写真を見る】ダイヤ改正で夕方の本八幡方面行き急行が増えた都営新宿線、快速が八潮駅にも停車するようになったつくばエクスプレス・・・ほかには? また、コロナ禍で減らした列車の本数をかつての状態に戻したケース、逆にさらに減らしたところなど、線区によっても明暗が分かれている。そんな2024年春のダイヤ改正について、関東の私鉄各社の中で注目すべき点をまとめてみた。
■2つの「新宿線」改善 西武鉄道と都営地下鉄の両方にある「新宿線」。両線に実際のつながりはとくにないが、今回のダイヤ改正ではこの「新宿線兄弟」でコロナ禍からの復活といえる改善がみられた。 西武新宿線は2022年3月のダイヤ改正で、日中10分サイクル(運転間隔)だったのを平日の日中のみ12分サイクルに変更し、急行と各駅停車を1時間当たり1本ずつ削減していたが、今回のダイヤ改正で元の10分サイクルに戻った。つまり毎時2本の増発だ。改正前のダイヤでは、とくに下落合駅では特急が間に入る場合などは最大で14分待ち(2022年春改正時点)になっていたが、ようやく一般的な都市鉄道と言える間隔に戻ったのは喜ばしいことである。
都営新宿線では、風前の灯となっていた急行が増えた。夕ラッシュ帯の速達列車を削った京葉線とは真逆に、むしろ夕ラッシュ時、17時~19時台の新宿発本八幡方面行き急行を従来の1本から4本に増やしたのだ。東京都交通局はダイヤ改正発表のページに「圧倒的、速度感。」とのキャッチコピーを付けたほどの力の入れようだ。 急行は、途中の大島駅で各駅停車に連絡する体系となっている。これまで急行が絶滅寸前となっていた中、費用をかけて整備した追い越し設備を活用しないのはもったいないといった声があったようだ。そこでどうすれば利用を増やせるか考えたのは都営のえらいところで、利用が少ないからと工夫も何もせずに通勤快速を廃止した千葉の赤い帯の電車とは大違いである。