カラスの「おどし飛行」は我が子を守る威嚇行動 カラス被害を回避するには
樹木が生い茂る公園などを歩いていると、突然、空からカラスがバサバサと近づき、慌てふためいた経験はないだろうか。しかし、「凶悪なカラスの無差別攻撃」ではない。我が子を守りたいという親心がなせる威嚇行動だという。カラスは春から初夏にかけて子育てをし、ちょうど6月のこの時期「カラスに襲われた」などの報告や相談が行政に相次ぐ。そこで、大阪市では公式サイトで「カラスについて」と題して、カラストラブル回避に向けた情報提供と注意喚起に努めている。身近な隣人ながら、あまりお付き合いのないカラスの知られざる生態を学ぶこともできる。大阪市の公開情報をもとに、カラス被害に遭わないさないための理論と実際をリポートしよう。
「おどし飛行」は「退去せよ」の威嚇行為
カラスは賢くて用心深い。3月下旬から7月上旬にかけて、つがいの親鳥が大きな木の横枝などに巣を作り、3、4羽のヒナを育てる。この時期に一部の親鳥がヒナたちを守るため、巣に近づく人やペットを威嚇する場合がある。 大阪市にカラスが人を威嚇したという報告や相談が多いのは、5月と6月。ヒナが巣立ちに向け、すくすくと成長する半面、ヒナの行動が活発になる分だけ、親鳥にとっては危険も増える油断ができない時期だ。そのため、親鳥がヒナを守ろうとして人を威嚇したことが、「カラスに襲われた」などという苦情となって、口コミで広がりやすい。 カラスの威嚇方法は、後ろから人の頭上近くまで飛んできて、すぐさま身をひるがえす「おどし飛行」がほとんど。カラスがいきなり羽音を立てて後ろから飛んでくると、反射的に怖くなって身構えてしまいがちだが、カラスがくちばしで突っつくことはまずない。 このおどし飛行に遭遇した場合、カラスを見ながらゆっくり離れると、再び威嚇されることはほとんどない。カラスを視野に入れておけば、再び襲われるのではという不安を解消できるとともに、カラスに対し、「あなたの威嚇に気付きましたから退去します」という有効なサインを送ることになるからだ。 威嚇は都市部のカラスに限ったことではない。カモメやコアジサシなど、多くの野鳥でも子どもを守ろうとして行う同様の行動が確認されている。