「プレミア12」の運営方法は、日本有利、他国には不公平なのか?
今大会の運営は、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)。そもそも組織の前身である国際野球連盟の財政が破綻していて、資金調達のできる本格的なプロ参加の国際大会の開催を模索していた。2020年の東京五輪から、五輪競技として野球を復活させるため、世界に野球をアピールできる大会も必要だった。そのWBSC側のメリットと日本側のメリットが一致。テレビ放映も含め、スポンサー調達などに多大な力を持つ日本に運営のリードを任せるのも当然の流れだったのかもしれない。それでも大会で集めたお金は、WBSCに流れるため、当初、日本は、その分配に不満を漏らして台湾単独開催の方向に動きかけたが、その後、WBSCが譲歩して日台共催になった経緯がある。 今大会はMLBが40人枠に入っている選手の派遣を認めなかったため、日本、韓国、キューバを除くと、のきなみ代表チームとは胸を張っては言えないようなマイナー選手中心のチーム編成となった。大会の本質が、リアルな世界一決定戦でなく、五輪競技復活への世界的プロモーション活動と、組織の資金調達にあったと考えると、高額の放映料に見合う日本の試合の全試合ナイター開催や、開幕カードに、わざわざ韓国を日本に一度呼ぶなどいささか公平に欠け、日本にアドバンテージを持たせる運営になったのも仕方なしか。そもそも大会前に、各国の連盟、協会も今大会の主旨と、日本有利の運営方法を納得した上で参加したのだ。 そして今大会で投打に圧倒的な実力差をみせつけて、全勝で勝ち進んでいる侍ジャパンの結果が、この運営方法によって生み出されたものか?といえば、決してそうではない。たとえ、ナイター、デイの日程があっても、試合使用球が違っていても、そこまで大差はなかっただろう。 WBCも考えてみれば、アメリカが絶対有利で分配金も含めてアジア勢には公平性の欠いた大会。WBSCが、「世界一決定戦」と公認しているが、実質の主催は、MLBとMLB選手会。毎回、メジャーのトップレベル選手が参加することで注目を集めるが、競技というよりも興行要素が強い。競技性よりも興行性、つまり“商売”を優先させれば、どうしても公平性に欠く事態が生まれるのだ。 ただ、里崎氏が指摘するように、もし五輪に野球競技が復活した場合に、次回の「プレミア12」が五輪予選として扱われるならば、このような公平性に欠く運営では、大きな国際問題に発展するし、主催側も、細心の注意を払うだろう。そして、真剣勝負をしている選手の立場からすれば、最大のパフォーマンスを発揮するために支障を及ぼすような大会運営は、迷惑以外の何ものでもないのである。