「戦場の女神」自衛隊主力火砲の威力を記者が目撃
自衛隊の主力火砲である155ミリりゅう弾砲、射撃の様子が報道陣に公開された。 富士山の裾野に広がる自衛隊の東富士演習場。広さは88平方キロメートル余りで、本州の演習場の中では最大となる。 報道陣の前に並ぶのが155ミリりゅう弾砲、FH70だ。
火砲とはいわゆる「大砲」などのこと。遠方から攻撃することが可能で、地上部隊を窮地から救うことから「戦場の女神」「戦場の神」などと呼ばれる。なかでも155ミリりゅう弾砲は自衛隊のみならず各国の部隊でも用いられるオーソドックスな火砲だ。 報道陣は、「射弾下掩ぺい部」と呼ばれるコンクリート製の建物に案内され、防弾ガラス越しに砲撃の威力を見学することとなった。
今回の訓練では、約3キロに離れた場所に配置された複数の火砲から発射する。 砲撃には2通りあり、ひとつは着弾の直前に相手部隊の上空で炸裂させる時限式の「曳火(えいか)射撃」だ。半径数十メートルにわたり、頭上から砲弾が金属片となって降り注ぐため、姿勢を低くしたり、塹壕などに隠れた敵にも損害を与えることができるという。 もうひとつが「着発(ちゃくはつ)射撃」。着弾と同時に爆発し、建物や車両などに大きな損害を与える。 射撃は、ターゲットの上空で爆発する「曳火射撃」からスタートした。発射の合図があり10秒ほどたつと、シュッと空気を切るような音がする。すると、「弾着、いま!」というアナウンスとともに、ドドドと足元を揺らすような轟音が響き、敵陣地に見立てた前方の斜面の上空に5つのオレンジ色の光が上がった。
続いて、着弾してから爆発する「着発射撃」が始まった。ドーンという音とともに、地面から黒煙があがっていく。防弾ガラス越しにカメラを構えていると、パチパチと小さく音がした。 見ると、衝撃で吹き飛ばされた土のかけらだろうか、小さな粒がガラスに跳ね返っていた。建物から砲撃を受けるエリアまではおよそ200メートル。改めて砲撃のすさまじい威力を感じた。