ブラックロックのETF間で巨額の資金動く、「新局面」でリスク低減
(ブルームバーグ): 世界最大の資産運用会社ブラックロックがファンドのリスクを低減させている。米利下げサイクルの開始と米大統領選挙を控え、市場が混乱の「新局面」に突入しているとみているためだ。
ブルームバーグが同社の投資見通しの内容を確認した。それによると、ブラックロックは米国株とグロース株の持ち分を減らす一方で、バリュー株と債券を選好している。5日には複数の投資商品を組み合わせてパッケージ化した「モデルポートフォリオ」の調整に伴い、関連するブラックロックの上場投資信託(ETF)間で数十億ドルが動いた、と内情を知る人物が明らかにした。
ブラックロックのターゲット・アロケーションETFモデルポートフォリオのリード・ポートフォリオマネジャー、マイケル・ゲイツ氏は「企業利益が引き続き追い風となっている一方、サプライズと予想修正のレベルは、過去1年半に見られた企業利益による押し上げ効果が緩やかになる可能性を示唆している」と記述。「比較的明確かつ安定した要因に支えられた時期から新たな局面へと移行しつつあり、この新局面では米金融当局の緩和に加え、季節要因や選挙関連のボラティリティーが想定される」と続けた。
背景には、リスク資産が重要な節目を迎えていることがある。直近の決算シーズンは大型ハイテク株を押し上げてきた人工知能(AI)ブームに疑問を呈する内容で、株式市場はここ数週間、不安定な展開となっている。一方、米金融当局は近く利下げを開始する見通しで、さらに大接戦となることが予想される米大統領選が2カ月後に迫っている。
こうした中、ブラックロックは足元、今年に入って傾斜を強めてきたグロース株で利益を確定しているもようだ。ブラックロックのモデル担当者は依然として債券よりも株式の保有を選好しているが、今回の調整で株式のオーバーウエートは4%から1%に低下した。
モデルポートフォリオは近年、規模が急拡大している。ブロードリッジ・ファイナンシャル・ソリューションズの分析によると、モデル資産は2023年末の推計5兆1000億ドル(約725兆円)から28年には11兆ドルに達する見通しだ。ブラックロックだけで約1310億ドルのモデル資産を手がけているとみられている。