小規模校の学習環境充実へ 奄美の4高校で遠隔授業実証 鹿児島県教委
離島の小規模県立高校の学習環境を整備しようと鹿児島県教育委員会は22日から、奄美群島の4校(喜界、大島北、古仁屋、与論)を対象に夏季補習の遠隔授業を試験的に実施している。生徒らの多様な進路実現を支えることが目的で、今回の実証を経て、来年度から単位認定を可能とする本格的な運用を目指す。 遠隔授業は、オンラインによる学習指導を推進する事業の一環として初めて実施。最も受講者が多い喜界がモデル校、ほか3校が協力校として参加。県総合教育センターからビデオ会議システム「Zoom」を使い、政治経済、物理、英語、情報の4教科から各校が希望する科目を配信する。 瀬戸内町の県立古仁屋高校(米澤瑞代校長、生徒87人)では25日、大学進学を目指す3年生3人が英語の授業を遠隔で受講。この日は入試を見据えた長文読解の問題に取り組んだ。生徒らは挙手やチャット機能などを用いて講師とやりとりし学びを深めた。 教室には同校の英語教諭と機器トラブルなどの際に対応する職員も待機し、生徒らが快適な環境で学習できる体制を整えた。 情報系の学部がある本土の大学に進学を希望している平瀬礼夢(れん)さん(18)は「質問も気軽にできて分かりやすい。自分が学びたい情報分野の授業もあり(受験勉強に)役立っている」と話した。一方、「対面ではないので先生の話の途中では質問ができない。音声が乱れることもある」と不便さも挙げた。 県教委によると、遠隔授業は職員数に限りがある小規模校で専任教諭がいない授業を開設できるほか、少人数授業や習熟度別の個別指導が可能になるなどの利点がある。担当者は「(実証で)見えた課題を改善できるよう対応する。生徒が地元の学校で夢を実現するための環境を整えていく」としている。