“ガチャゲー”終焉の足音…日本のガラパゴス化に最適化したモバイルゲーム会社MIXI・ガンホー・グリーの行く先
早くも人気を失った「メメントモリ」
一時期は盛んにテレビCMを放送していた「メメントモリ」も失速が鮮明だ。 このゲームを開発した、バンク・オブ・イノベーションの2023年10月-2024年3月の売上高は前期比43.8%減の78億円。ゲームのリリースは2022年10月18日だった。すでに売上は4割以上も縮小したのである。 ヒットさせる確率そのものも下がっている。 gumiは2023年8月28日に「アスタータタリスク」をリリースした。名作と呼ばれる「ファントム オブ キル」を手がけた今泉潤氏のプロデュース作品だ。この作品は大コケし、このゲームの開発費に当たるソフトウェア資産28億円の減損損失を計上した。 「アスタータタリスク」は、ユーザーの評判そのものは決して悪いものではない。グラフィックのクオリティも高く、世界観やキャラクターも練り込まれている。それでもヒットしないところに、今のモバイルゲーム市場の厳しさが現れているだろう。 gumiは今後、モバイルゲーム開発において、「アスタータタリスク」のようなオリジナルタイトルから手を引くことを決定した。 「アイドルマスター」で知られるバンダイナムコホールディングスは、2024年3月期にゲームタイトルの見直しに伴う開発中止による処分損210億円を計上した。 スクウェア・エニックス・ホールディングスも、同じタイミングでコンテンツ開発の中止に伴う220億円のコンテンツ等廃棄損を出している。多くのゲーム会社は方向転換を迫られているのだ。
モンストを海外に根づかせようと苦心したミクシィ(MIXI)
日本のモバイルゲームの主役は、ガチャを課金ポイントとしたガチャゲーだ。しかし、これは日本独自の文化で、ガラパゴス化している。そのため、モバイルゲームを開発する会社の多くは、日本に封じ込められている。 市場調査を行うアスマークの「【日・米・中】ソーシャルゲームに関する調査」によると、日本人がモバイルゲームで重視する上で77%と高い比率を占めるのが「キャラクター」だ。更に「操作性の良さ」が73%と大きな比重を占める。 その一方で、アメリカや中国は「グラフィックの質の高さ」や「エンターテイメント性」を求める。 日本では特定のキャラクターに課金をする“推し活”と呼ばれる文化が定着しているが、それがモバイルゲームにも当てはまるのだ。 しかも、操作性が良く簡単に遊べるものを求めているため、課金とガチャでキャラクターの収集や育成を行うガチャゲーが市場に最適化した。 グラフィックやエンターテイメント性の高さを求めるアメリカや中国は、戦略的にゲームを進行させることに面白みを感じている。課金でキャラクターの育成を楽しむ日本のゲーム文化とはまるで違うのだ。 ミクシィの「モンスターストライク」は中国やアメリカなど、海外進出を何度も試みている。しかし、撤退を重ねているのが現実だ。 ミクシィは業績の膠着状態を打開するため、インドへの進出をぶち上げた。しかし、ガラパゴス化した日本のガチャゲーを海外で定着させるのは難易度が高い。 ゲームで海外展開を行う際、現地の文化や風俗などに適合させるローカライズという工程を経るが、その領域を遥かに超えているように見える。日本とはモバイルゲームの楽しみ方が異なるからだ。