「みんな“指名漏れ”ばかり話題にするけど…」あるスカウトが語った慶大・清原正吾の“本当の功績”とは? 「野球界にすごく大きなものを残した」
実は「基礎体力のある子を<1>から教えた方が…」
そういえば、ある高校野球の指導者が以前、こんな嘆きを伝えてくれた。 「中学の部活で軟式野球をする子供たちが減っている代わりに、シニアやボーイズ、中学硬式のチームは増えている。でも、問題は指導者ですよ。野球を本当に理解して、基礎からしっかり教えてくれる人は、残念ながら多くはいない。 聞きかじりで技術を教えるから、結果として我流のへんなクセのついた選手が高校に上がってくる。それならいっそ、中学で水泳でも、陸上でも、バレーボールでもいいから、基礎体力をしっかり養った子供たちを<1>から教えたほうが伸びしろがあるし、時間もかからない」 野球というスポーツは、子供の頃から野球一筋でやってこないと、上でついていけない。そんな「思い込み」をされていることはないだろうか。 「そういう思い込みを、清原君が吹き飛ばしてくれたとしたら……彼は野球界にものすごく大きな功績を残したことになりませんかね。野球なんて、そんなに難しいスポーツじゃないですよ、20年以上やっていた私が言うんだから、間違いない。 ほかのスポーツの土台さえあったら、高校からでも大学からでも始められる。ちっとも遅くありませんよって、清原君が証明してくれたんじゃないですか」
「大学から野球にチャレンジ」が普通になれば…?
そばでその話を聞いていた高校野球の関係者が、「そうですとも!」と手を打つ。 「ウチの高校でも、バスケをやっていた子が、『自分、背が低いんで、大学ではやりません』ってションボリしている。でも、僕ら野球の指導者から見れば、180cmの身長があって、運動神経と全身のバネが抜群で、『こいつ、野球やんないかな』ってずっと思っていた。 そういう選手が、大学から『今度は野球にチャレンジしてみる』というのが普通のことになってきたら……『高校野球にこんなのいたか! 』みたいなね。清原君みたいな存在が出てきますよ、きっと。そうしたら彼は、その先駆者になるわけだ。そうなるためには、大学の野球部のほうも『アスリート枠』っていうのを作ってもらって、高校生が大学でも他のスポーツを続けていけるような可能性を作ってもらってね」 話はどんどん明るい方向へ広がっていく。 良くないことは何もないはずだから、この流れは本当に現実になりそうな予感すらしてきた。 それもこれも、2024年という年の学生球界に「慶應義塾大の4番打者・清原正吾」というパイオニアが存在してくれていた、そのおかげに違いないのである。
(「マスクの窓から野球を見れば」安倍昌彦 = 文)
【関連記事】
- 【貴重写真】「まるで俳優…“母ソックリ?”な清原正吾」「弟は父・和博に似てる? 比較写真」Number撮影のカッコいい写真多数…「運命のドラフト会議」緊迫の瞬間を捉えた写真も一気に見る
- 【最初から読む】ドラフト会議で話題の「調査書」ウラ話…あるスカウト「届いたからイコール指名ではない」 慶大・清原正吾に各球団が“出さなかった”ワケは?
- 【あわせて読む】清原正吾はなぜ“指名見送り”だったのか? あるスカウトの本音「本当に力のあるバッターだったら…」 2024年《運命のドラフト会議》その後の物語
- 【こちらも読む】「清原正吾は野球をやめると思う」慶大の監督が激白…“ドラフト指名漏れ”から9日後、記者に語った後悔「覚悟あった。調査書が届きませんでしたから」
- 【本人が語る】慶大・清原正吾が語る“清原家の今”「母は涙ひとつ流さなかった」再会した父・和博の謝罪「ごめんな…」中高時代は離れた野球、当時の本音