高い高速道路、400円走り放題に 元トヨタ副社長ら「定額制」提言、二地域居住しやすく 「高速サブスク化」という選択(上)
都市と地方の双方に生活拠点を持つ「二地域居住」を促進する初の法案が今国会で審議される中、双方を行き来する際の交通費の負担が課題となっている。とりわけ、車での移動にかかる高速道路料金は世界的に高額で、負担感は強い。高速料金の無料化は2115年まで延期されており、無料化でなく「定額制(サブスクリプション化)」こそが地域活性化につながるとの提言が出されている。 【グラフでみる】高速道路料金(距離制)の国際比較 ■有料か無料か…第3の選択肢 「二地域居住をする際、遠ければ遠いほど大きくなる交通費などの個人負担について、どう考えるか」 促進法案に盛り込まれた新たな制度を議論した国土交通省の有識者委では、交通費への支援のあり方が「さらなる課題」として残された。 同省の平成27年度の調査によると、都道府県をまたぐ移動手段の割合は、乗用車約75%、鉄道約17%、航空機約5%―などの順。だが、車での移動にかかる高速料金は、諸外国と比べて高額だ。 国土交通省の令和元年の調査によると、乗用車の場合、米国や英国、ドイツなどは原則無料。有料の国で日本と同様、走った距離に応じて課金される「距離制」の場合、1キロ当たりの料金はフランスが15・6円、スペイン13・4円、イタリア8・7円などだったのに対し、日本は24・6円(普通車)と突出して高かった(元年7月末時点の為替レートで換算)。 背景には、わが国の高速道路の建設費の高さがある。建設費は金融機関などからの債務で賄われ、料金収入で返済される仕組みだが、国交省は「わが国は地震国であり、同じ山国のスイスなどと比べても、耐震化などのためどうしても建設費がかさんでしまう」(高速道路課)と説明する。 昨年5月には、老朽化した橋やトンネルなどの改修費などを賄うためとして、高速道路の料金徴収期限を50年延長し2115(令和97)年までとする法律が成立した。22世紀にまで影響を及ぼす政策決定に対し、「2112年生まれ」という設定のドラえもんを引き合いに「高速が無料になるのは、ドラえもんが3歳のとき」とやゆされた。 実際、高速料金は永久有料か無料かの2択で議論されがちだが、低額の「定額制」という第3の道を提案する2人組がいる。元トヨタ副社長の栗岡完爾(かんじ)さん(87)と、元岐阜県職員で経営コンサルタントの近藤宙時(ちゅうじ)さん(66)。