〝二刀流ハードラー〟豊田兼、父の母国・フランス開催の五輪切符つかむ/陸上
今夏のパリ五輪代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権は27日から4日間、新潟市のデンカビッグスワンスタジアムで開催される。26日は前日会見が行われ、男子110メートル障害と400メートル障害の2種目で代表入りを狙う豊田兼(21)=慶大4年=が登壇。ハードル2種目で出場すれば、日本勢初。父の母国・フランスで開催される五輪切符をつかむ。〝二刀流ハードラー〟の挑戦が、幕を開ける。初の五輪代表を狙う豊田は、りりしい表情で心境を口にした。 「すごく緊張しているけど、楽しみ。弾みをつけてオリンピックにつながるレースにしたい」 フランス人の父と日本人の母を持つ、現役慶大生ハードラー。195センチの長身を生かしたダイナミックなハードリングが持ち味だ。特に400メートル障害では、5月のセイコー・ゴールデングランプリで日本歴代5位の48秒36を出すなど、今大会の優勝候補筆頭。出身の桐朋中・高は都内有数の進学校としても知られ、文武両道、さらに甘いマスクとあって人気も急上昇中だ。 トップ選手としては異例の110メートルと400メートルの障害2種目での五輪代表を目指す。距離だけでなくハードルの高さも間隔も異なるため、似て非なる種目だが、「片方に絞ったらもっと深くスキルを極められるかもしれない。でも、相乗効果もあるかもしれない。新しいロールモデルを目指してやりたい」と強い決意を口にする。 400メートル障害は参加標準記録を突破済みで、優勝なら即内定。110メートル障害の代表入りには、今大会での記録突破と2位以内が必要となる。 日本勢初の五輪2種目同時出場へ、まずは、27日の400メートル障害予選に挑む。パリ五輪は父の母国で開催されるなど縁があり、「なじみのあるフランスでの開催はモチベーションになる。切符をつかみにいきたい」。わが道を進む豊田が、パリへの最後のハードルを華麗に飛び越える。(高橋朝香) ■陸上・パリへの道 内定条件は①昨年の世界選手権で日本勢最上位の3位以内、かつ期間内に参加標準記録を突破②前述①の該当者がいない種目で、昨年の世界選手権で日本勢最上位の8位以内、かつ今年1月から6月までに参加標準記録を突破③日本選手権優勝、かつ期間内に参加標準記録を突破、の3つ。また、参加標準記録を突破しての日本選手権3位以内(内定者がいる種目は2位以内)や、世界陸連が設定する五輪ランキングで基準の順位内に入ると選考の対象となる。