【LiLiCoのこの映画、埋もらさせちゃダメ!】これは若い人こそ観るべき! 『恋するピアニスト フジコ・ヘミング』
直球で批判を投げかけてますし、それが非常に気持ちいい!
さて、もうひとつも同日から公開が始まる『まつりのあとのあとのまつり「まぜこぜ一座殺人事件」』。俳優のみならずマルチに活動している東ちづるさんが、企画・構成・プロデュース・主演を務めた社会派コメディです。 東さんが主宰する「まぜこぜ一座」の公演終了後、打ち上げの席で事件が起きます。なんと東さんが絞殺死体で発見されるんです。エレベーターが使えなくなり、携帯電話の電波も遮断。その場にいた人すべてが容疑者でした。一座の面々の他にいたのは、公演に招待されていた芸能事務所、テレビ局、広告代理店の関係者のみ。犯人探しが始まるのですが……。 本作での登場人物の大半が本人役ですし、一座の公演があったのも本当。なので、ドキュメンタリーのようなタッチで、多様性の受容に対して一般の人たちが持っている問題意識と当事者が抱えているリアルな苦悩のギャップを描き出します。 重く描こうとすればいくらでもシリアスにできる題材ですが、これはコメディーでエンタメ。だからこそ観て感じ取ってもらいたいんですよね。最終的なゴールは、こういう映画、東さんが主宰する団体のように常日頃から訴え続ける人々の活動がなくなることだと思うんですよ。だって、問題があるから存在するんだもの。 映画の中でも語られているように、メディアが変わらないといけないってことが重要。障がいを持つ人やセクシュアル・マイノリティの人、ありとあらゆる「少数派」と呼ばれる人たちを、個性として見ることができないメディア関係者の意識が変わらないといけません。そこはさすが長年芸能活動を続ける東さん。直球で批判を投げかけてますし、それが非常に気持ちいい! ゴールに向かうためには、まずは映画を観ましょうね。 (C)2024 「恋するピアニスト フジコ・ヘミング」フィルムパートナーズ (C)2024 一般社団法人 Get in touch 取材・文:よしひろまさみち 撮影:源賀津己 『恋するピアニスト フジコ・ヘミング』 10月18日(金)公開 『まつりのあとのあとのまつり「まぜこぜ一座殺人事件」』 10月18日(金)公開 ■LiLiCoプロフィール 1970年11月16日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。18歳で来日し、芸能界へ。01年からTBS『王様のブランチ』に映画コメンテーターとして出演するほか、女優、ナレーター、エッセイの執筆など幅広く活躍。