【厚生年金】9割が利用しない!?「月額10万円を18万4000円に増やす方法」デメリットとは?
繰下げ受給のデメリット1.寿命によっては損をする
繰下げ受給のデメリット1つ目は、寿命によっては損をすることです。寿命が短い場合には、繰下げ受給を利用することでトータルでもらえる年金額が減ってしまいます。 例えば、以下の条件で65歳から年金の受け取りを開始した場合と70歳から受け取りを開始した場合とで寿命ごとの生涯年金受給額をシミュレーションしてみましょう。 ・1975年1月1日生まれ ・平均年収400万円 ・23歳~64歳まで会社員として勤務 シミュレーションの結果は以下のとおりです。 ●寿命ごとの生涯年金受給額 寿命 65歳から受取開始 70歳から受取開始 ・75歳 1700万円 1210万円 ・80歳 2550万円 2420万円 ・85歳 3400万円 3630万円 ・90歳 4250万円 4840万円 ・95歳 5100万円 6050万円 ・100歳 5950万円 7260万円 *寿命は記載年齢到達時とする *税金と社会保険料は考慮しない 85歳よりも長生きをする場合は、繰下げ受給により受給開始を70歳に遅らせた方がお得です。一方で、寿命が80歳以下の場合には、繰下げ受給をせずに65歳から通常通り受給を開始した方がお得になります。 事前に寿命を予測することは難しいですが、寿命が短い場合には繰下げ受給を選択したことで損をする場合があることも覚えておきましょう。 年金受給額が「増える」ことに目がいきがちですが、収入が増えれば税金や社会保険料も比例して高くなります。 次章で税金と社会保険料がどのくらいかかるのか、年金受給額「月15万円」と「月20万円」でシミュレーション比較してみましょう。
繰下げ受給のデメリット2.税金と社会保険料が高額になる
繰下げ受給のデメリット2つ目は、税金と社会保険料が高額になることです。繰下げ受給を利用して年金の受給額面を増やせば、その分税金と社会保険料の負担率が重くなります。 例えば、以下の条件で「月15万円」年金をもらう人と「月20万円」年金をもらう人の税金と社会保険料を比較してみましょう。 ・東京都練馬在住の独身70歳 ・収入は年金のみ。 ・基礎控除と社会保険料控除のみを適用(生命保険料控除や地震保険控除などはなし) 計算の結果は以下のとおりです。 年金月15万円(年180万円)にかかる税金と社会保険料 ・所得税:年4000円(180万円ー110万円(公的年金所得控除)ー48万円(基礎控除)ー約15万円(社会保険料控除))×5.105%(所得税率) ・住民税:年1万5000円(180万円ー110万円(公的年金所得控除)ー43万円(基礎控除)ー約15万円(社会保険料控除))×10%(住民税率)ー2500円(調整控除額)+5000円(均等割額) ・国民健康保険料:年6万4000円 ・介護保険料:年8万6000円 ・手取り:年163万2000円(月13万6000円)180万円ー3000円(所得税)ー1万5000円(住民税)ー6万4000円(国民健康保険料)ー8万6000円(介護保険料) 年金月20万円(年240万円)にかかる税金と社会保険料 ・所得税:年2万8000円(240万円ー110万円(公的年金所得控除)ー48万円(基礎控除)ー約27万円(社会保険料控除))×5.105%(所得税率) ・住民税:年6万3000円(180万円ー110万円(公的年金所得控除)ー43万円(基礎控除)ー約27万円(社会保険料控除))×10%(住民税率)ー2500円(調整控除額)+5000円(均等割額) ・国民健康保険料:年16万6000円 ・介護保険料:年10万4000円 ・手取り(年間):年204万円(月17万円)240万円ー2万8000円(所得税)ー6万3000円(住民税)ー16万6000円(国民健康保険料)ー10万4000円(介護保険料) 額面月15万円の場合、税金と社会保険料を引いた手取りは月13万6000円で、手取り率は90.7%となっています。一方で、額面月20万円の場合、税金と社会保険料を差し引いた手取りは月17万円で、手取り率は85%です。 やはり、額面の年金が高額になるほど、税金と社会保険料の負担割合が高くなることがわかります。