広島・大瀬良 史上90人目のノーノー達成「自分には縁がないと思っていた」 マツダでは初めて
◇交流戦 広島4-0ロッテ(2024年6月7日 マツダ) 広島・大瀬良大地投手(32)が7日のロッテ戦(マツダ)でプロ野球史上90人目、102度目のノーヒットノーランを達成した。球団では2012年4月6日DeNA戦で達成した前田健太(現タイガース)以来5人目7度目。09年開場のマツダスタジアムでは初の快挙となった。無傷の3勝目で防御率もリーグトップに浮上。今季6度目となる3連勝の原動力となり、チームを首位に導いた。 9回2死一、二塁、大瀬良が最後の打者・ポランコをこん身の144キロ直球で右飛に仕留めると、マツダスタジアムは大歓声に包まれた。両拳を突き上げて喜ぶ右腕に、ナインが駆け寄る。歓喜の輪の中心で、笑顔の花が咲いた。 「信じられない。9回にマウンドに上がるときの歓声がすごくうれしくて、ここまで来たら頑張りたいなと思っていた。自分には縁がないと思っていたので、まだ信じられないような気持ちです」 昨年10月の右肘手術後最多129球を投げ抜き、最後まで「H」ランプ点灯を許さなかった。140キロ台中盤の直球を軸にカットボール、スライダー、シュートなど多彩な球種で相手打線を手玉に取った。2奪三振以下での達成は98年川尻哲郎(阪神)以来12人目、球団では最少タイ。5与四球以上の達成は史上13人目、こちらは球団初となった。九州共立大時代の初登板で9回1死まで無安打に抑えた“未遂”経験があり、参考記録では達成したこともあったが、「9回までとなると人生で初めて」。正真正銘の偉業をプロ11年目で成し遂げてみせた。 球団では12年前田健太(現タイガース)以来5人目7度目。「マエケンさんの(ノーヒットノーランの)映像を見る機会もあった。自分はやってみたいとかは思いもしなかったが、すごいなと思っていた」。最近も連絡を取り合っており、「頑張る糧にさせてもらっている」と言う。 工夫が生きた。この登板を前に、今季からチームで導入した最新型投球マシン「i Pitch」で新たな発見があった。タブレットに球速、球種、投球回転数などのデータを入力すると、その投手の球が再現できる優れもの。基本的に打者が使用するが、大瀬良は逆転の発想で「今年投げ始めた(自分の)シュートを打席で見た。思ったより動いているのが分かり、あまり曲げにいかなくていいと思えた」。 チームを3連勝に導き、首位浮上の原動力となった。防御率1・07はリーグトップに躍り出た。苦難を乗り越えてきた鯉のエースが、最高の一日を過ごした。 (長谷川 凡記) ◇大瀬良 大地(おおせら・だいち)1991年(平3)6月17日生まれ、長崎県出身の32歳。長崎日大では3年夏に甲子園出場。九州共立大を経て、13年ドラフト1位で広島入団。14年4月16日の阪神戦でプロ初勝利。同年は10勝を挙げ新人王。18年は15勝7敗で最多勝、最高勝率に輝き、球団初のリーグ3連覇に貢献。19年から5年連続開幕投手を務めた。1メートル88、94キロ。右投げ右打ち。 《広島では5人目の快挙》 ☆広島5人目の快挙 大瀬良(広)が5月24日阪神戦の戸郷(巨)以来のノーヒットノーランを達成した。プロ野球90人目、102度目。セ・リーグでは前出の戸郷以来43人目、46度目。広島では12年4月6日DeNA戦の前田健太以来5人目、7度目。 ☆交流戦4人目 交流戦では22年6月7日、日本ハム戦の今永昇太(D)以来4人目で全員セ・リーグ投手によるもの。 ☆マツダで初 09年開場のマツダスタジアムで初の達成。大瀬良は同球場で通算43勝目。これは前田健太の45勝に次ぐ単独2位の勝利数になる。 ☆打たせて取った快投 2奪三振以下での達成は98年5月26日中日戦の川尻哲郎(神=1三振)以来12人目。広島では72年4月29日巨人戦の外木場義郎に並ぶ最少奪三振の達成になった。与四球5以上の達成は史上13人目(14度目)で球団では初。なお、2奪三振以下、与四球5以上でノーヒットノーランは41年4月14日阪神戦の亀田忠(黒鷲=2奪三振、6四球)に次ぎ83年ぶり2人目。