秋ドラマ「名演俳優」ベスト5。“サレ夫”田中圭の振り幅も凄いけど、鬼気迫る演技に震えたNo.1女優は
池田エライザ『海に眠るダイヤモンド』
演技が激ウマな人ばっかりが登場する日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』(TBS系)で、あえて触れたいのが池田エライザです。豪華キャストたちに全く引けを取らない存在感を放つ池田が演じるのは、物語の舞台となる端島に突如として現れた謎多き美女・リナ。 ミステリアスな雰囲気を醸し出していたかと思えば、過去に怯えたり、少女のように恋をしたりと、彼女の人生は目まぐるしく動いていきます。そんな激動の人生を懸命に生きる姿には、同じ女性として共感してしまいます。リナの幸せを願わずにはいられないのは、池田の演技力あってこそ。 池田は今年NHK BSで放送されたドラマ『舟を編む ~私、辞書つくります』では、主演を務めていました。本作は三浦しをんの大ベストセラー小説『舟を編む』の連続ドラマ化作品で、誇りと情熱をもって辞書作りに邁進していく主人公・みどりの演技も素晴らしかったです。
田中圭/『わたしの宝物』
触れずにはいられないのは、「托卵」をテーマにヒリヒリした展開がずっと続いていたドラマ『わたしの宝物』(フジテレビ系)の田中圭。主人公・美羽(松本若菜)が不倫で身ごもった子どもを、そうとは知らないまま自分の子として育てる夫・宏樹を演じました。 もちろん田中圭がいい俳優であることは周知の事実ですが、本作では特に、目まぐるしい感情の振れ幅をひとりの役で表現する力が圧倒的。第1話はすんごいダメなモラハラ夫(筆者個人的には、好きな田中圭)で、妻の妊娠を知った2話でも「父親の役目はできない」と言い放ち育児しない宣言をしたのに、同話のラストでは娘・栞の誕生に感動して号泣。DNA鑑定で栞が自分の子ではないと分かれば、茫然自失で海に入るし。 結局、残念な夫だったのは第1話だけ。実に解像度の高いサレ夫を見せてくれました。このドラマでは宏樹以外のみんながあまりに自由だし、勝手だし……決して清廉潔白ではないけれど、個人的には「もはや田中圭にしか感情移入できない状態」でした。