「おまえはホームランだ」ソフトバンク斉藤和巳4軍監督が育成大卒2年目の努力家に伝え続ける理由、ドラフト1位左腕のいま
今季から4軍を率いる斉藤和巳4軍監督(46)のインタビュー第2回です。指揮官としての初勝利の感想や選手との向き合い方…。日々の気付きを交えながら選手の成長を見守る様子を語ってもらいました。(聞き手・構成=浜口妙華) ■【写真】バットを手に前田悠のブルペンの打席に立つ斉藤4軍監督
選手のために必要なことが何があるか
―3月20日の4軍今季初戦(ヤマエグループ九州アジアリーグ・火の国戦)で初勝利。振り返ってみて。 「個人的にはいい緊張感があった。やっぱり(1軍投手コーチだった)昨年とは全然違うんでね」 ―緊張感とは。 「(昨年は)投手だけを見ていたらよかった。今はベンチで先のことを考えながら、コーチにいろいろ助けてもらいながらやっている」 ―監督として気付きは。 「細かいことだと、守備位置やカウントによっての状況…。いろいろなことを考えないといけない。3、4軍は勝ち負けにこだわるわけではない。今後、選手のために必要なことが何があるかを考えながら、試合も見ておかないといけない」 ―初勝利のウイニングボールをもらっていた。どこに飾ったか。 「家にある。まさかそんなふうになるとは思っていなかった。どういういきさつかは分からないけど、マネジャーが持ってきてくれた。そうやって気にかけてもらったことがうれしかった。大事にとっておこうと思う」 ―現役時代の記念ボールは。 「1勝目が友人の家にある。2勝目以降はキャッチボールに使っていたのでない」
「見た目以上に馬力がある」ルーキーとは?
―監督が選ぶ3月のMVPは。 「育成2年目の重松(凱人外野手)が頑張っている。練習熱心で、いろいろなことを克服しようと必死にやっている」 ―重松選手に聞くと、斉藤4軍監督と最初に会った時から「おまえはホームランだ」とずっと言われて、安打を打っても「ホームランじゃない」と言われたそうだが。 「打率は残っている。でも、ヒットを打った姿や内容というところでね。ホームランは3本(3月31日現在)出ているけど、僕の中では彼のポテンシャルはまだ出し切れていないと思う。まだ全然満足していないと伝えている」 ―各選手と目標をしっかり話し合っている。 「やっぱり選手によって立場が違うので。高卒の選手に(まだ)そんなところは求めていない。重松は2年目だけど大卒。今は3軍にいるけど、今年は2軍で戦力にならないと。言い方は悪いけど、僕はやっぱり時間は限られていると思っている。そこまでどうやってこっちがアプローチできるか、声かけができるかが僕らの仕事」 ―ドラフト1位の前田悠伍投手はブルペンで投げている。どう見ているのか。 「今は特に話はしていない。4月に試合に入っていけたらという状態かな。試合で投げ出したら、いろいろ課題が見えてくると思う。それからでも全然遅くはないかなと僕は思っている」 ―育成ドラフト6位の藤原大翔投手が先日、ブルペンで150㌔を出した。 「楽しみ。奥村(政稔4軍ファーム投手)コーチ(補佐)と、試合で投げるのが楽しみと話をした。見た目以上に馬力がある球を投げる」 ―短期間で急成長している要因は。 「物静かなタイプで練習も淡々とできる。コーチに話を聞いたら、やり方を説明すればすぐに対応できると。そういう能力が高いと聞いている」