ドラマのロケ地にも 昭和の雰囲気漂う阿倍野のビリヤード場へ
店の並びでは「下町のちいさな一軒家」
2001年には、範子さんの兄で脚本家の南川泰三さんが「玉撞き屋の千代さん」という千代さんの半生を描いた本を出版。泰三さんは「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」などを手掛けたことでも知られており、この本は全国ネットのテレビ番組などでも紹介された。 後に女優の浜木綿子さんが千代さんを演じて舞台化され、赤井英和さんや加藤茶さんが共演するなど話題にもなり、東北や九州からも「本を見た」と来店者があったという。 千代さんは2013年4月に遠方から来た客を見送った後に倒れ、その2日後に息を引き取った。その3年前に転倒して頭を打ち入院。一度は寝たきりにもなったが「働きながら死にたい」という思いを胸に起き上がって以来、ずっと店に出て、その思いを遂げ96歳の生涯を終えた。 その死から3年がたち、範子さんも跡を継ぎながら様々な取り組みを行っている。「ビリヤードをしないけど、この店に入りたいという人も多くて、喫茶みたいにお茶も出してます。コーヒーは300円です。この昭和な雰囲気を味わって楽しんでもらうのもいいかなと思って」。そんな噂を聞いて、写真を撮りに訪れる人も多いという。 また、店の並びでは、範子さんが持つ一軒家を「下町のちいさな一軒家」としてレンタルスペースとして2時間2000円から貸し出しもしている。最近では、町内の会議などのほか、キッチンも利用可能なため若者がパーティの場としても利用しているという。 「みんなが楽しんでくれたらうれしいですね」とうれしそうに語る範子さん。範子さんは、人々が楽しむ姿を見るのがとてもうれしいという。きょうも店に立ちながら、笑顔で客にアドバイスを送っていることだろう。