虎のソナタ ダル200勝にセ界一〝貢献〟している阪神 06年6・6トラ戦初登板で2安打完封星献上
虎番・須藤佳裕がすっくと席を立った。 あれ? まだ着いていない。 「前を走る列車が鳥と衝突したため-」 午後0時40分頃、JR京都線の車内。電車は橋の上で止まって、しばらく動かなくなった。 甲子園での投手指名練習を取材。新大阪駅でチームの移動取材をしようとしていた須藤は思わぬ足止めを食らう形になったが、しばらくたって、運行再開。「フロントガラスが破損したようです。鳥にはかわいそうでしたが…大事故にならなくてよかったです。それにしてもこんなことあるんですねぇ」。ハト?迷惑なできごとに首をかしげながら電車を降りた。 ブブッ。 朝からスマートフォンが震えた。大谷がドジャース移籍後初のサヨナラ打というニュース速報。そしてその後、パドレス・ダルビッシュが日米通算200勝を達成。海の向こうが大忙しの一日だった。編集総括の運動部長、堀啓介が「4、5面はメジャーリーグの見開きでいきたい」と編集局長、生頼秀基に早々と提案し、ゴーサインを得る。今季、飛ぶ鳥を落とす勢いのカブス・今永も新鮮味があるが、宮城・東北高で甲子園を沸かせ、37歳になっても一線級で活躍するダルビッシュの日米通算200勝はすごい。 長年、虎番をやっていた癖なのか、ダルビッシュは200勝のうち阪神相手にどれぐらい挙げているのかが気になって調べてみた。正解は5勝! セ・リーグ6球団で最も多く〝貢献〟していた(2位は中日の4勝)。阪神戦が最多の8試合だから仕方がないんだけどサ。 阪神戦初登板は2006年6月6日の札幌ドーム。新庄剛志(当時の登録名はSHINJO)がその年限りでの現役引退を発表し、古巣戦とあって試合前に天井から降りてきた。阪神打線はわずか2安打(シーツ、鳥谷)しか打てず完封負け。当番デスク席の川端亮平が「もう思い出したくない」とブルブル震えてしまうアノ試合だ。初めて土をつけたのが6戦目となる2010年5月29日の札幌ドーム。7回9安打4失点(自責3)で虎番はお祭り騒ぎだ。 09年2月11日の沖縄・宜野座。日本ハムとの練習試合でワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に臨む日本代表のエース、ダルビッシュが調整登板として先発した。春季キャンプ前半に組まれる実戦は若手主体メンバーとなるため正直、打てるわけがないと誰もが思っていた。