日鉄によるUSスチール買収への反対「揺るがない」-労組トップ表明
(ブルームバーグ): 全米鉄鋼労働組合(USW)は、USスチール買収実現に向けて組合員の取り込みを狙った日本製鉄の窮余の策に屈しないと表明した。買収計画を「実現の見込みのない取引」と表現し、外国資本による買収に反対する姿勢を鮮明にした。
米政権を含む 「利害関係者 」に12日配布した文書で指摘した。バイデン大統領は141億ドル(現行レートで約2兆円)規模の買収計画を阻止する意向だと報じられているが、先行きは不透明で、買収反対への支持獲得に向けたUSWの新たな取り組みだ。
日鉄、バイデン政権に翻意促す-USスチール買収で土壇場の働き掛け
USWのデービッド・マッコール国際会長は文書で「実現の見込みのない取引をなんとしても救いたいUSスチール幹部は、古くからある一つの手口に目を付けた。経営者側が個人的に得ることになる多額の報酬に関心が向かないよう、USW組合員と退職者の分断を図ろうとしている」とした上で、「組合員と退職者の反対は揺るがない」と強調した。ブルームバーグが文書の内容を確認した。
USスチールと日鉄は今週、合意に向けた交渉の取り組みを労組幹部がいかにはねつけてきたかを明らかにしようと、USWとのやり取りを公開した。買収計画が白紙撤回されれば工場閉鎖の可能性があるとUSスチールが警告した後、新しいオーナーに支持を表明する労働者も出てきた。
マッコール会長の文書についてコメントを求められたUSスチールは12日の発表文で、「従業員にとって最善の状況を望んでいると多くの人が公言している。だからこそわれわれは、USWが代表する施設に27億ドル規模の変革的投資をもたらし、今後数十年にわたって操業を継続するパートナーとの間で取引を交渉した」と指摘した。
一方、日鉄は以前の発表文に言及し、USスチール買収が「別の選択肢では不可能な方法で、米国の労働者と地域社会、国家安全保障に利益をもたらす」とコメントした。