プールの底で揺らめく一瞬の夏、高校演劇リブート映画化企画第2弾!「水深ゼロメートルから」
「水深ゼロメートルから」(5月3日公開)は、2020年にヒットした「アルプススタンドのはしの方」(城定秀夫監督)に続く、高校演劇のリブート映画化企画第2弾。第44回四国地区高等学校演劇研究大会で文部科学大臣賞(最優秀賞)を受賞した戯曲を、山下敦弘監督が映像化した青春映画である。
プール掃除をしながら、女子高生4人の想いが交差する!
夏休み中の徳島南高等学校。高校2年生のミク(仲吉玲亜)とココロ(濱尾咲綺)は、体育教師の山本(さとうほなみ)から、特別補習としてプールの掃除を指示される。水のないプールの底には、隣のグラウンドで練習する野球部から飛んできた砂が積もっていた。しぶしぶ掃除を始める二人だが、同級生で水泳部部長のチヅル(清田みくり)、3年生で水泳部の元部長ユイ(花岡すみれ)も掃除に合流する。何気ない会話を始める4人だが、やがてそれぞれの悩みが溢れ、彼女たちの想いが交差していく。 水のないプールというワンシチュエーションの中に、女子高生たちの想いを凝縮させた脚本を書いたのは、原点の高校演劇版も手掛けた中田夢花。高校3年生の時に演劇部顧問の先生と相談しながら仕上げたという戯曲は、ジェンダーギャップをテーマにして、思春期の女子高生の微妙な心情を救い取っている。 ミクは幼い頃から阿波踊りをやっていて、彼女はいつも足を広げて構える“男踊り”を踊っていたが、胸が膨らみ女性らしい体型になってきた今となっては、男踊りを踊ることに羞恥心を感じている。ココロは男女の不平等を実感していて、メイクやおしゃれをして自分を可愛く見せることで、男社会の中で生きていくしかないと思っている。チヅルは中学の時の同級生で今は野球部のスター的な存在であるクスノキに、自分がいくら頑張っても勝てないことに苛立ちを覚えている。そしてユイは、自分に限界を感じて水泳部を辞めようとしているチヅルの心を変えようとする。 それぞれの個性とは別に、女性であることに性のギャップを感じている彼女たちが、解消できない男性との壁を、何とか気持ちで乗り越えようともがく姿が、プール掃除の会話によって描かれる。