時間に追われない”豊かな”葬儀を 鎌倉自宅葬儀社・馬場翔一郎さん
“納得感“を求めて
――自宅葬をするためには、どんな条件がそろっていれば良いでしょうか。 ある程度周りの理解があることが大事ですね。マンションでもできますが、管理人さんに確認するなど、周りへの配慮がまずは一番かもしれません。それが対応できていれば、6畳間でも十分ですし、こうじゃなければいけないというのはありません。どうしても昔気質のご親戚の方が懸念されるという場面もありますが、そういう時には、私たちが間に入って、説明する役割を担います。 ――これまで印象に残っている、自宅葬ならではの演出はありますか。 ある亡くなられた方の奥様がすごくピアノが好きで、伴奏しながらご夫婦でよく一緒に歌っていたらしいんですね。ピアノの横に柩を置いて、奥様がピアノを弾いて、息子さんやお孫さんたちが一緒に合唱して送り出したことがありました。ご家族にちょっと手伝ってもらうというか、手作り感があったほうが、その時は少し大変かもしれないけど、終わった時に満足して、良かったよと言ってくださることがが多いですね。ご家族が仕切った方が、納得感があるんです。大切な方を亡くされて、ご家族が悲しんでいる状態の中で、サポートさせていただきながら、無事葬儀が終わってほっとした瞬間に、「ありがとう」と笑顔で言ってもらえた時に、やりがいを感じますね。 ――自宅葬を広めるために考えていることはありますか。 在宅医療や、在宅の看取りを行っている医療関係の方たちとコンタクトを取って"終活"に関するセミナーを開催したり、ターミナルケアについての勉強会を行ったり、エンゼルケア(死後処置、死化粧)について学んだりするなど、グリーフケアの観点からも、葬儀屋と医療機関が一連の流れでつながれば、すごくスムーズになるのではと考えています。病院と葬儀業者が結びつくと、ともすれば必ずしも良いイメージばかりではありませんが、そうではなく、患者さんもしくは故人の方に、便宜をはかれたら、すごくいいものができるんじゃないかなと。 今は無宗教の葬儀が多いですが、やはり宗教も大事にしたいですし、鎌倉はお寺も多いので、そういったところとも連携して、死について考える機会を作っていきたいですね。 (齊藤真菜)