時間に追われない”豊かな”葬儀を 鎌倉自宅葬儀社・馬場翔一郎さん
葬儀屋から“泣語家“、IT業界へ
――ご自身の経験に基づいているんですね。 それから、泣くことってすごく癒やされるんだなあと思って、着目したのが、涙を流してデトックスを図る"涙活(るいかつ)"というものでした。涙活プロデューサーの寺井広樹さんという方の活動を見学に行って、経緯をお話したら、ぜひ手伝ってくださいと言われて、"泣語家(なくごか)"としての活動を始めました。老人ホームなどを回りながら、泣ける話をしていました。 その活動を続ける中で、カヤックと涙活がコラボした「ナクルート」という、泣きながらリクルート活動を行うイベントを実施しました。カヤックは経歴詐称OKの「エイプリル採用」など採用に関して面白い取り組みを行っているんですが、同じコンテンツを見て涙を流せる人っていうのは、共感できるから、仲間になりやすいんじゃないかと。その時に、「こういうユニークな会社で働いてみたいな」と思ったのが記憶に残っています。 涙活についての取材をよく受けるようになった繋がりから、週刊誌に葬儀屋としての取材を受け、自宅葬を取り上げてもらったんです。そうしたらすごく反響があって、全国から問い合わせの電話がかかってきたんですが、埼玉の本当に小さい会社でやっていたので、対応しきれなかったんですね。これだけ注目されるのだから、絶対にいいものになる、もっと広めたいと思った一方で、すごくもったいないことをしてるな、一個人でやるものじゃないなと思いました。 その中で、やはりある程度規模のあるしっかりとした会社で自宅葬の良さを伝えたいなと考えた時に、カヤックのクリエイティブで発想力が豊かな面が思い浮かんで、昨年末、2年越しに、思い切って代表の柳澤大輔に直接メールしました。オフィスビルに入っている蕎麦屋で「自宅葬っていうのがあって…」と直談判したら「それ面白いね」と言われて、その日に「鎌倉自宅葬儀社」という名前が決まったんです。 ――カヤックには、事業の立ち上げを支援するような仕組みがあるのでしょうか。 誰でも何でもというわけではないんですが、カヤックはもともと面白法人と名付けていますが、面白いの定義は、選択枝を増やすことだと考えていて、世の中に新たな選択枝を増やすというビジネスなので、チャレンジしてみようということになったようなんです。カヤックの拠点である鎌倉は、高齢者の持ち家率が80パーセント程度(※平成26年鎌倉市高齢者保健福祉に関するアンケート調査)ということもあり、自宅葬との親和性や、自宅葬の送り方の豊かさといったイメージが合うねという話になって。その後、話を重ねて、今年の4月に入社しました。