火野正平さん逝く 75歳 4月に持病の腰痛悪化、6月に腰骨折後に体調悪化 大河「国盗り物語」秀吉役でブレークした個性派
個性的で色気のある演技でお茶の間を魅了し、近年は自転車での旅番組でも人気を博した俳優の火野正平(ひの・しょうへい、本名・二瓶康一=にへい・こういち)さんが、14日に死去していたことが20日、分かった。75歳。所属事務所が発表した。死因などは明らかにしていない。葬儀は家族葬で行われた。火野さんは1962年のデビュー以来、時代劇から現代劇まで幅広く活躍。一方で数々の女性と浮名を流し、芸能界きってのプレーボーイとしても名を馳せた。 【写真】在りし日の火野正平さん 大物俳優ズラリでも際立つ存在感 かつては数々の女性との交際が報じられ、ワイドショーの寵児として騒がれた“超個性派”の火野さんが、静かにこの世を去っていた。 火野さんは今年4月、持病の腰痛が悪化したことで、レギュラー出演していたNHKBS「にっぽん縦断 こころ旅」のロケを中止。そのまま休養して治療に励んでいたが、6月に腰部を骨折したことを機に体調を崩した。その後も仕事復帰へ意欲を見せていたが、思いはかなわず。所属事務所によると、自宅で家族に見守られ、穏やかな最期を迎えたという。 火野さんは1962年、13歳でフジテレビ系ドラマ「少年探偵団」でデビュー。その後、さまざまなドラマの端役などを経て、73年に作家の故・池波正太郎さんに名付けられた「火野正平」名義に芸名を改め、同年放送のNHK大河ドラマ「国盗り物語」の羽柴秀吉役でブレークした。 主役ではなくても欠かせない存在として、時代劇やVシネマなどに数多く出演し、今年は大ヒット映画「ラストマイル」の宅配便のドライバー役として存在感を発揮。スタジオジブリ「君たちはどう生きるか」にも声で出演していた。77年から歌手活動も行い、昨年2月には14年ぶりとなる新曲「あかんたれ」を発売。同時に全国ツアー「火野正平ライブツアー2023」も開催し、全国のファンを喜ばせた。 一方で、火野さんを全国的に有名にしたのが、多くの女性との交際報道だった。1972年に前妻と破局(離婚はせず)後、すぐに女優・新藤恵美、小鹿みきとの熱愛が発覚。その後も西川峰子(現・仁支川峰子)ら複数の女性との同時交際が報じられることもあり、「○○の火野正平」などと代名詞として使われるほどのモテぶりだった。 奔放な交際ぶりが報じられるたび、ワイドショーでのリポーターとのやり取りが名物となっていた火野さん。昨年1月に行ったライブツアーの発表会見では、「何十年前かのスキャンダルを思い出す」とジョークを飛ばしつつ、何度も対峙した伝説的リポーター・梨元勝さんの名を挙げ「この人なりにやることやってるんだなって、戦友に思えて来ちゃった」と懐かしんでいた。 ◆火野正平(ひの・しょうへい)1949年5月30日生まれ。東京都出身。12歳から劇団「こまどり」に所属し、62年にフジテレビ系ドラマ「少年探偵団」に出演して俳優デビュー。73年のNHK大河ドラマ「国盗り物語」で豊臣秀吉を演じて人気に。74年に「俺の血は他人の血」に主演し映画デビュー。主な出演ドラマに「新・必殺仕置人」、「長七郎江戸日記」など。11年から日本全国を自転車で巡るNHKBS「にっぽん縦断 こころ旅」に出演していた。