3年生で唯一先発の富士見MF野村翔成がハット達成「次も勝ちたい」
10月5日、第103回全国高校サッカー選手権静岡予選の1次トーナメント2回戦が行われ、富士見が伊豆総合を3-2で破り3回戦進出を決めた。 【フォトギャラリー】富士見 vs 伊豆総合 最終学年の3年生が輝きを放ち、そんな先輩たちと1日でも長く一緒にサッカーをやろうと1、2年生たちは懸命にボールを繋ぐ。全国高校サッカー選手権大会。いわゆる『選手権』と言われる大会に世間の注目が集まり出すのは、10月後半から11月初めにテレビ中継が始まる地区予選の準決勝辺りから。しかし、そんなひと握りの学校を除いた参加校(第102回は3,842校参加)の多くは、それぞれが異なった目標を持ってインターハイ本戦前の6月から『選手権』に臨んでいる。さらに受験を控える3年生の多くは、インターハイ(総体)予選の敗戦を機にやむを得ず『選手権』にチャレンジすることなく高校サッカーから引退。そんな実状を乗り越え『選手権』に挑む3年生は、相応の覚悟(リスク)と目的を持って大会に臨んでいる。 この試合では両チームのそんな3年生たちが、合計5得点の全てを挙げた。逃げる富士見に対し追撃の2ゴールを挙げた伊豆総合FW10中西拓也。一方、勝利を収めた富士見はMF6野村翔成がチャンスを確実にものにしてハットトリックを決めた。 そんな野村の活躍に小川昭浩監督も「彼は数少ない3年生で先発は彼1人が3年生だったので、そういう魂もあってそれを見せてくれたと思います」と笑みを浮かべた。野村自身も「結構厳しい試合だったのですが、その中でもみんなが守備を頑張ってくれた。今日はスタメン(の3年生)は自分1人だけだったので、決め切れて良かったです」と安堵の表情を浮かべた。そして「3年生なので負けたら引退なんですが、1、2年生たちが頑張って上の方まで勝ち上がったり、リーグ戦も昇格を目指しているので、その(経験の)ためにも1、2年生とみんなで飛龍戦を勝ちたい」と意気込みを口にした。 激しいアップダウンの繰り返しに足を攣りホイッスルを待たずして交代を余儀なくされた野村。少しだけ悔しさを滲ませたものの「途中からみんな出てきてくれてよかった」と同じ3年生の仲間がピッチに立てたことを自分のことをように嬉しそうに話した。 次の対戦相手は、同じ東部地区のシード校の飛龍だ。小川監督も「1つシード校とやるのを目標にやってきたので、そこまでは届いたのですが、あとはそのシード校にいかにして戦えるか?今日の内容だと、とてもとても足元にも及ばないような力ですけど」と、その難しさを口にする。しかし「前から(プレスを)かけるってことが最後の方はできていなかったので、そこは反省点です。セカンドボールをしっかり回収できたら失点も防げると思います。次も勝ちたい」と、野村の気持ちは前向きだ。敗れた伊豆総合の選手たちの想いも背負って、富士見イレブンはシード校・飛龍に臨む。 (文・写真=西山和広)