国内株式の中小型株のアクティブ運用にチャンス=イーストスプリングがレポート
日経平均株価が今年3月に史上最高値を更新し、日本株式ファンドへの注目度が高まっている。イーストスプリング・インベストメンツは5月に「日本の中小型株:見落とされた投資機会注目」と題したレポートを発行し、国内株式の中でも、特に、中小型株に投資機会があるとしている。レポートは、シンガポール拠点の株式運用部門ポートフォリオ・マネジャーのMax Godwin氏によるものだが、同レポートでは「日本の中小型株が上昇するきっかけは整っています。その恩恵を最大限に享受するには、アクティブ投資によるアプローチが最も効果的と私たちは考えています」と国内の中小型株を投資対象としたアクティブファンドに活躍余地が大きいと強調している。
Godwin氏は、史上最高値を更新した日本株式市場の動きは、「ほとんどは大型株のけん引によるもの」として、中小型株が「ある意味で放置された状態にある」と指摘する。大型株の上昇は、「インデックス買い」と「それまで中国に投資していた投資家が日本にシフトした結果」とする。結果として、日本株が値上がりしたことによって、世界の投資家の日本株に対する見直しを促したが、小型株がその流れに乗っていないため、大型株に対してバリュエーションが大幅に割安な水準にあることが1つの魅力のポイントとする。
その上で、「東証の市場改革の影響は、中小型株の価値を解き放つ重要なきっかけになる」と見通している。大型株に対して中小型株は絶対数が圧倒的に多い一方、中小型株は大型株に比べてPBR(株価純資産倍率)1倍割れの水準で取引されている割合が高いという現状がある。たとえば、2023年12月末現在で大型株のPBR1倍割れは大型株全体の21%だったが、中小型株は39%がPBR1倍割れだった。
さらに、中小型株は株式時価総額に対するネットキャッシュの割合が高く、健全なバランスシートを有している。そして、ネットキャッシュがプラスの銘柄の保有する各ネットキャッシュをそれぞれの株式時価総額で割った割合は、小型株の中央値で約18%となり、大型株の10.1%や中型株の11.0%を大きく上回っている。Godwin氏は、「相対的に高い現金保有水準は、自社株買いを容易にし、ひいては、株主資本利益率(ROE)の向上につながる」として小型株評価のポイントにしている。