南葛SC、浦和、ツエーゲン金沢…20日間で80万円、サッカーの輪で実現した能登半島支援。ちょんまげ隊長「関心の糸をつないでほしい」
80人超が参加したスタジアム招待バスツアー。予算は約80万円
――2月18日に金沢ゴーゴーカレースタジアムで行われたツエーゲン金沢対カターレ富山のオープニングマッチに、能登半島の子どもたちを招待されたバスツアーのことですね。 角田:そうです。災害支援の話だからスポーツとは関係ないように思われるかもしれませんが、今回、サッカーの力を通じてまたいろいろなことがつながったと実感しています。バスツアーは、子どもが約40人、大人が約30人で計72名、引率が11名の計83人という大規模なものになりました。 ――それは、予算も相当な額になったのではないですか? 角田:バスのチャーター費用が、運転手さんが二人制なので30万円ぐらいかかりました。その他に、全員をスーパー銭湯に連れていくことも企画していたので入浴料がかかります。朝・昼・晩の食事と合わせて1人3000円としても、80人で24万円。プラス、観戦のチケットは大人で2400円、子どもが1000円、旅行保険代、賞品、応援グッズ合わせると最大80万ぐらいのお金がかかると見積もっていました。 ――80万円……。どのようにして集めたのですか? 角田:先ほどの寄付の話ではないですが、僕たちは(NPOなどの)法人格を持っていないので行政の補助金や企業の支援対象にはなりにくいです。活動資金はSNSで集まった寄付やチャリティーイベントなど知り合いからの顔が見える支援が頼りです。それで、まず南葛SCの岩本GMに「スポンサーをしてくれませんか。10万円お願いします!」と言ったら、岩本さんが代表取締役を務める株式会社TSUBASAでのサポートを快諾してくれました。行政やヤフーの審査を受けた団体でもないので、個人の信頼関係において託してくれたことに、心から感謝しています。
「浦議チャンネル」で拡散した浦和サポーターのすごさ。15時間で50万円!
――ツンさんの活動や人となりを知っているからこそですね。ただ、残りの70万円はどのように集めたのですか? 角田:準備期間が20日間しかなく、クラウドファンディングは準備に1カ月から2カ月かかる上に、手数料が2割もかかるので諦めました。それで、Facebookで僕の活動を知っている人に3900円の「サンキュー募金」をお願いしたんです。 それで、ありがたいことに「ツンさんがやるんだったらいいよ」と言ってくれる人たちから100口ぐらい集まったんです。南葛SCの10万円と合わせて50万円ぐらいになったので、残り30万円は、浦和レッズのサポーターにお馴染みの「浦議チャンネル」(YouTube)管理人のかなめ君とUGに相談しました。なぜかというと6年前まで埼玉に住んでいたレッズサポーターが被災地にいるのですが、今回の震災で家が全壊して、友人宅の一室に一家4人で間借りしているんです。そのことを伝えました。 そうしたら、2人がYouTubeの「スーパーサンクス」という投げ銭機能を通じて募金を呼びかけてくれることになりました。手数料が4割取られてしまうと聞いて躊躇したのですが、「10万円で4万円の手数料ぐらいなら僕が出します!」と、かなめ君が申し出てくれて。ありがたくお願いしたら、なんと15時間で50万円も集まったんですよ! ――ええっ……! すごいネットワークと支援力ですね。 角田:僕も本当に驚きました。「自分たちにとって家族同然のサポーターが苦しんでいるから、俺たちが助けなきゃいけない!」という思いもあったと思います。これまで僕がYouTubeで被災地支援のことを伝えても、見てくれる方は多くて1000人ぐらいだったのが、「浦議」では1万人以上の人が見てくれたんです。これがJリーグ60チームの中で動員数ナンバーワンの力かと思いましたし、スポーツの力を感じました。ただ、今回は手数料4割で20万円になってしまったので、「これじゃあかなめが破産する!」となって(苦笑)、「皆さんの善意に感謝します」というお礼とお詫びの動画を作って、それ以上の募金は中止させていただいたんです。