【注目化粧品OEM企業インタビュー】実正 角谷昭博営業部長「差別化できる高付加価値化粧品を提案」
化粧品OEMの実正は10月1日、電子材料事業や機能化学品事業、ライフサイエンス事業などを展開する、商社のエア・ブラウンのグループ会社となった。同日、エア・ブラウンの取締役を務める高木啓之氏が、実正の代表取締役社長に就任した。実正は、高付加価値化粧品の開発に強みを持つ。実正の角谷昭博営業部長に、高付加価値化粧品の開発法について話を聞いた。 ――経営体制が変わったということですが。 10月1日付で当社の株主構成が変わり、全株を取得したエア・ブラウンが実正の親会社になりました。同日、エア・ブラウンの取締役を務めている高木啓之が、当社の社長に就任しました。 ――当面の経営方針などに変更はありそうですか? 現在のところは、大きな変更があるとは聞いていません。ただ、親会社になったエア・ブラウンは、国内だけでなく海外にも手広く展開している会社です。今後、実正が海外に展開を広げていくきっかけになるかもしれません。 ――実正の提案できる高付加価値化粧品についても教えてください。 実正では、差別化できる多様な高付加価値化粧品を提案できる体制を整えています。 例えば、当社が提案できる高付加価値化粧品の一つとして、超臨界抽出法を活用した化粧品があります。当社では、超臨界抽出技術を活用した製品群の開発を推進しています。超臨界抽出では、他の抽出方法では得られない成分を得ることが可能です。 当社の工場には、超臨界抽出装置を設置しており、超臨界抽出技術を用いた原料抽出を行うことができます。当社ではすでに100種類以上の原料から超臨界抽出によるスクリーニングを行っています。美白素材や抗シワ素材の開発にも成功しています。「この原料から超臨界抽出できないか」といったご要望をいただければ、オーダーメード原料の開発も可能です。 「サチャインチ超臨界CO2エキス」の開発にも成功しました。このエキスには、エラスチンを分解する酵素の活性を阻害する作用があることが確認されており、抗シワへの貢献が期待されています。 他にも、エラスチン分解酵素活性を抑制する効果を持つ「アマニ超臨界CO2エキス」や、美白の効能を持つ「コメヌカ超臨界CO2エキス」「エゴマ種子超臨界CO2エキス」「ハトムギ超臨界CO2エキス」、美白と抗シワの効能を併せ持つ「久慈産琥珀超臨界CO2抽出物」を開発した実績もあります。「エゴマ種子超臨界CO2エキス」については、特許も取得しています。 ――医薬部外品の開発なども行っていますか? 医薬部外品の開発も、当社が得意とするところです。薬用化粧品の申請済み処方がすでに10個あります。こうしたレディーメード処方を活用いただければ、特徴のある医薬部外品を、迅速に商品化することが可能です。 医薬部外品のレディーメード処方としては、「液だれせず、産毛程度なら5分程度でしっかり除毛できる除毛クリーム」「医薬部外品としての効能に加えて、『乾燥による小じわを目立たなくする』旨の表示が可能な薬用クリーム」など、特徴のある医薬部外品を開発しています。 日焼け止めとしての効果が確認済みの化粧品や、抗シワ表記が可能な化粧品なども、積極的に開発しています。こうした処方を使っていただければ、SPF・PA表記や抗シワ表記を行える化粧品を、手軽に開発していただけます。日焼け止めとしては、「SPF50+、PA++++」の最高評価を得た処方を提案することももちろんできます。 ーーほかにも”高付加価値”を訴求できる化粧品の開発例はありますか? 疑似セラミドを15%以上配合したミルク「セラミドナノエマルジョン」の開発にも成功しています。 通常、ミルクに配合できる疑似セラミドの濃度は、せいぜい数%です。当社では、高圧乳化装置で、ナノエマルジョン化する技術を活用することにより、15%以上という高濃度配合を可能にしています。高配合で安定化することができます。ナノ化した乳化粒子を作成しているため、一般的な乳化に比べ、肌なじみ・浸透性の良さが期待できます。少量の界面活性剤の使用で乳化が可能であるため、”自然派”化粧品との親和性が高いと考えています。また、別の処方で、界面活性剤フリーの乳液もご用意しています。 医薬部外品の主剤としても使われるナイアシンアミドを11%以上と高配合した美容クリーム「ナイアシンアミド11%+(プラス)ラメラ液晶クリーム」の開発にも成功しています。 パラベンを始めとした防腐剤フリー、鉱物油フリー、アルコールフリーなどをうたえる処方となっており、自然派化粧品として提案できます。 当社では以前から、肌の細胞間脂質に類似したラメラ液晶構造を再現できる「ラメラ液晶乳化」の技術を持っていました。この技術を応用して、開発に成功しました。浸透性や保湿効果が高まることも試験により確認しています。 ――今後の方向性について。 当社では、「肌にも地球にもやさしいおひさまでつくった化粧品」を標ぼうしてきました。今後も、お客さまの熱い思いに応える、差別化できる高付加価値な化粧品をさまざま提案していきたいです。
日本ネット経済新聞