トランプ支持者vs.テック業界──トランプ次期政権に早くも「内紛」、対立は根深い
移民政策の鍵を握る「マスクvs.ミラー」
一方、マスクと共にDOGEを率いる予定のラマスワミは12月26日、「数学オリンピックのチャンピオンよりもプロム(高校卒業時のダンスパーティー)の女王をたたえ、卒業生総代よりも運動選手をたたえるような文化からは、優秀なエンジニアは生まれない」とXに投稿。 これに対し、トランプ前政権で国連大使を務め、大統領選ではトランプと共和党指名候補を争ったニッキー・ヘイリーが強く反発した。 「アメリカの労働者やアメリカ文化に問題はない。私たちは外国人労働者ではなく、アメリカ人に投資し、アメリカ人を優先するべきだ」とヘイリーは述べ、ラマスワミとマスクに対する大きな攻撃の先陣を切った。 トランプは不法移民に対する計画を声高に主張してきた一方で、アメリカで合法的に働こうとする人々についてはあまり触れてこなかった。 選挙戦では、合法移民の制度改革の見通しについて語り、上級学位を取得した学生には永住権を取得する資格があるとまで示唆した。 「大学を卒業したら、卒業証書の一部として、この国に滞在できるグリーンカードを自動的に発行する」とトランプは述べた。 マスクの移民に対するアプローチは、不法移民に対しては強硬姿勢で、高技能労働者の受け入れに対してはリベラルな姿勢というもの。これは、対移民強行派で次期政権入りが予定されているスティーブン・ミラーといったMAGA派が支持する文化的・経済的保護主義とは相反する。 2016年の選挙戦でトランプは、合法移民のための「大きく美しい扉」を作ると宣言した。しかし、本誌の取材に応じた専門家らによると、移民政策でミラーの影響を強く受けた第1次トランプ政権は、ビザや労働許可証の発給プロセスにひそかに障壁を設けることに取り組んだという。 マスクとミラーがどのように「協力し合う」のか、そして大統領から見てどちらのイデオロギーが優勢なのか。今回の論争は次期政権が直面する課題の1つになるだろう。 ジーザス・メサ