「旧車って、人間味があるんです」’80年代のトヨタ「コロナバン」に注ぐ並々ならぬ愛情
運命の一台と出合うためなら、遠方への出張も厭わない。Web上で良さげな車体を見つけては、中古車店に足繁く通う日々を送った。群馬、広島、岐阜、福岡……。さまざまな地域に訪れ、出合ったのが現在の相棒である。
「Webでこの車を見つけて、最終的には広島まで行きました。実物を見てみると状態はすごく良く、エンジンも正常。即決してその場で購入しました。 でも半年後、車を取りに行ったらエンジンが上手くかからない。調べたらキャブレターの部品がひとつ抜け落ちていたんですよ。最終調整の段階で無くなってしまったのかもしれません。普通はないことですが……」。
それでも宮本さんは諦めず、フェリーで東京へと車を持ち帰った。 「東京に帰ってからもそのままの状態で半年ぐらいは乗っていましたが、やはり頻繁にエンジンが止まってしまう。友人から紹介してもらった群馬にある車店のおっちゃんに相談したんですよ。一度車を入院させて、部品を探してもらうことにしました」。 だが待てど暮らせど部品が見つかったという連絡はなく、気が付けば1年が経っていた。 「ある日、ついに『部品を見つけた』と電話があったんです。改めて部品を付け直してもらい、キャブのオーバーホールをして、晴れて、難なく乗れるようになりました」。
「もう7年くらい乗っていますが、やはりビジュアルが最高ですね。特にフォルムが絶妙。カクカクして見えますが、ところどころのディテールに丸みがあるので、尖った感はありません。丸目のライトも洗練された雰囲気で好きです」。
コロナバンの配色も「絶妙」だと宮本さんは讃える。 「ウィンカーのオレンジ、ブレーキランプのレッド、そしてボディのライトブラウン。この暖色系のグラデーションがいい。 車体にあしらわれた“コロナ”の書体も大好きなんですよ。現代にはない当時の独特な雰囲気がある。昔の字体っていいですよね」。