楽天「25億円返還」で田中将大(36)放出に“球団売却”の予兆 長期保有に疑問符、「200勝目前」で見限ったのは球団ではなく
自由契約は球団のせめてものリスペクト
「マー君は海外FA(フリーエージェント)権を持っています。日本シリーズ後に行使することは可能だったはずですが、人的補償や金銭補償が伴うAランク(外国人選手を除き、年俸で上位3人)のため獲得球団のハードルは高く、今のマー君の力では国内他球団への移籍は難しくなっていたと思います。移籍先が見つかりやすい自由契約にすることが球団のマー君に対する、せめてものリスペクトだったのではないでしょうか」(在京球団編成担当) 「しっかりと成績を出せた人、出せなかった人は判断しないといけない」と田中を特別扱いしなかったことを示唆した石井SDの言葉は、選手間のバランスという意味で正当性を帯びる一方、田中は球団史上随一の功労者だ。 「マー君の契約ですから石井SD一人が決めたのではなく、三木谷(浩史)オーナーが絡んでいることは間違いないでしょう。オーナーの鶴の一声で、歩み寄ることはできたはずです。しかし、それをあえてしなかったのか、できなかったのか。いずれにしても是が非でも球団初の200勝投手の誕生を待とうとしなかったことは確かですね。前代未聞のケースでしょう」(楽天の元首脳陣の一人)
「資産整理の対象に挙がっても不思議ではない」
楽天は今季、2年契約を1年残し、今江敏晃監督を解任した。後任には三木肇2軍監督を昇格させた。 「前監督も現監督も年俸は4000万円程度です。少ないと言われる西武やロッテの監督の半分ほど。近年は以前のようなFA補強にも消極的です。穿った見方をすれば、いつ球団を売却してもいいように、チーム強化にコストをかけないようにしていると言えます。チームの象徴的存在で、200勝までのカウントダウン状態にあり、興行的な価値が高かったマー君を出すということで一層、長期に亘って球団を保有する意志があるのかどうか疑わしく感じてしまいますね」(前出の元首脳陣) 球界再編騒動が起きた04年、オリックスとの合併により近鉄が消滅したことを受け、同年11月に楽天は球界に新規参入を果たした。日本プロ野球機構(NPB)に対し、預かり保証金25億円、野球振興基金への寄付金4億円と手数料1億円の計30億円を収めたものの、球団買収に関しては費用がかかっていない。そして10年以上、球団を保有したことで保証金25億円は返還されている。 「売却すれば、タダ同然で手にした球団が100億円規模で売れるかもしれないのです。親会社が携帯電話事業の不振で経営が依然、不安定であることを踏まえると、球団が資産整理の対象に挙がっていても不思議ではありません」(元パ・リーグ球団社長)