2023年「アパレル小売業」業績、コロナ禍前を上回る ECサイト活用・インバウンド需要の取り込みが成長のカギ
売上高ランキング 大手2社が全体売上高の3割を占める
売上高ランキングは、トップがユニクロの9,324億6,100万円(前年比10.5%増)だった。次いで、しまむらが6,108億1,900万円(同5.4%増)で、この2社でアパレル小売業2,443社の売上高合計の31.5%を占めた。 衣料品はサイズやデザイン、生地感などを確認しながら実店舗で購入するニーズが根強い。だが、コロナ禍では外出自粛に加え、自社サイトで直接消費者と取引するD2Cファストファッション業者の台頭などにより、EC販売の市場が急速に拡大した。大手アパレル小売業者のなかには、コロナ禍前から自社プラットフォームで販売チャネルを確保していた企業もあり、EC販売の増加や新規顧客の開拓をアフターコロナでの業績のプラス要因に挙げているケースも少なくない。 売上高上位の企業には、ユニクロやジーユー、アダストリア、ワークマンなど、SPA(製造小売業)体制を構築し、企画・製造・販売まで自社で一貫して行う企業が並ぶ。ハイブランドの高価格帯を除き、アパレル小売業は値引きやセール販売が慣習化し薄利多売の傾向にあったが、流通コストの削減や需要に合った商品投入などを進め、収益向上に舵を切る企業も増加している。 ただ、こうしたEC参入・拡大やSPA体制の構築は小・零細企業にはコスト面や技術・人的資源の面で負担が大きく、企業規模による業績の二極化が進む原因にもなっている。